来週の為替相場見通し:『米長期金利を睨みながらの展開か。ドル高・円安に警戒』(6/26朝)

ドル円は4/23に記録した安値107.47をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、3/26以来、約1年3ヵ月ぶり高値となる111.12まで急伸しました

来週の為替相場見通し:『米長期金利を睨みながらの展開か。ドル高・円安に警戒』(6/26朝)

『米長期金利を睨みながらの展開か。ドル高・円安に警戒』

〇今週のドル円、週明けは株価下落と米長期金利の下落で109.71まで反落
〇その後株価持ち直し、複数の米当局者のタカ派発言と米金利反発に1年3か月ぶり高値111.12をつける
〇週末にかけては5月米PCEコアが予想を下回ったことで反落するも底堅く110.80近辺で越週
〇ユーロドル週初1.1847まで下落するも欧米株の堅調、パウエル議長のハト派発言等に1.1976まで反発
〇ドル円テクニカルには地合いの強さ印象づけるチャート形状を維持
〇ファンダメンタルズも米テーパリング観測、過剰流動性相場逆流懸念、米経済回復期待等が米ドル支える
〇ドル円相場上昇がメインシナリオ、来週はISM指数、雇用統計等米指標、FRB当局者発言に注意
〇来週の予想レンジ(USDJPY):109.75ー112.25、(EURUSD):1.1850−1.2050

今週のレビュー(6/21−6/25)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初110.26で寄り付いた後、@アジア株の冴えない動き(米早期テーパリング観測を背景とした金融市場の不安定化→日経平均株価は6/21に一時1160円超の大暴落)や、A上記@を背景としたリスク回避の円買い圧力(クロス円下落→ドル円連れ安)、B米長期金利の急低下(米10年債利回りは6/21に一時1.35%へ急低下)が重石となり、週明け早々に、週間安値109.71まで下落しました。しかし、C日銀によるETFの買い入れ再開(4/21以来)が報じられると、D株式市場が持ち直したことや、E上記Dを背景としたリスク回避の円買い後退(リスク選好の円売り再開)、F米当局者によるタカ派的な発言(セントルイス連銀ブラード総裁による「我々はテーパリング議論を開始する時期にきている」との発言や、ダラス連銀カプラン総裁による「テーパリング開始は遅いより早い方が良い」との発言、サンフランシスコ連銀デイリー総裁による「年末もしくは来年初にテーパリング開始の準備が整う可能性がある」との発言、アトランタ連銀ボスティック総裁による「FRBは2022年終盤に利上げに着手する必要がある」との発言など)、

G上記Fを背景とした米長期金利の急上昇(米10年債利回りは6/21に記録した1.35%から1.51%へ急上昇)、H短期筋のショートカバー(3/31に記録した年初来高値110.97を見越した仕掛け的なドル買い・円売り)、I米経済指標の力強い結果(米5月中古住宅販売件数や、米6月リッチモンド連銀製造業指数など)が支援材料となり、週後半にかけて、3/26以来、約1年3ヵ月ぶり高値となる111.12まで急伸しました。週末にかけては、J米5月PCEデフレータや米5月PCEコアデフレーターが市場予想を下回ったことで一時反落する場面も見られましたが、一目均衡表転換線付近では下値も堅く、結局110.80近辺での越週となっております。尚、パウエルFRB議長は6/23に「予防的に利上げすることはない」と金融政策に対する慎重なスタンスを伝えましたが、ドル売りでの反応は限定的となりました。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1868で寄り付いた後、@米早期テーパリング観測に端を発したリスク回避のドル買い(金融市場の不安定化→資産現金化需要のドル買い)や、A欧米金融政策格差を背景としたユーロ売り・ドル買いが重石となり、週明け早々に週間安値1.1847まで下落しました。しかし、前週末金曜日(6/18)に記録した安値1.1846に一歩届かず反発に転じると、B欧米株の堅調推移や、C上記Bを背景としたリスク選好のドル売り圧力、Dハンガリー中銀やチェコ中銀などEU加盟国による利上げサイクル再開、EパウエルFRB議長によるハト派的な発言を受けた対ユーロでのドル売り圧力、Fユーロ圏経済指標の力強い結果(ユーロ圏6月製造業PMI速報値、ユーロ圏6月サービス業PMI速報値、独6月IFO景況感指数など)が支援材料となり、週末にかけて、約1週間ぶり高値となる1.1976まで反発しました。

もっとも、一目均衡表雲下限に続伸を阻まれると、引けにかけて値を崩し、結局1.1935近辺での越週となっております。尚、今週はラガルドECB総裁より「必要とあればECBには利下げの余地もある」との発言がなされた他、レーンECB専務理事からも「ユーロ圏のインフレ率が異常に急騰するようなパラダイムシフトは想定していない」との発言が報じられましたが、ユーロドル相場の反応は限定的となりました。

来週の見通し(6/28−7/2)

<ドル円相場>
ドル円は4/23に記録した安値107.47をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、3/26以来、約1年3ヵ月ぶり高値となる111.12まで急伸しました(年初来高値更新)。強い買いシグナルを示唆する三役好転や、強気のパーフェクトオーダー、ダウ理論における上昇トレンドも成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策格差を背景としたドル買い・円売り圧力(金融緩和からの脱却が出来ない日本と、金融緩和からの脱却のタイミングを模索する米国との金融政策格差。市場では8月後半に予定されているジャクソンホールでテーパリングが宣言されるとの見方が根強い)や、A過剰流動性相場逆流への警戒感(世界同時テーパリングを背景に金融市場が不安定化→資産現金化需要のドル買いを引き起こす恐れ)、B米経済の回復期待など、ドル円相場の上昇を意識させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。来週は7/1に予定されている米6月ISM製造業景況指数、日銀短観、7/2の米雇用統計に加えて、米当局者発言(ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁、クオールズFRB副議長、リッチモンド連銀バーキン総裁など)に注目が集まります。米雇用統計が市場予想を上回る結果となった場合や、米当局者よりタカ派的な発言が見られる場合などには、米長期金利上昇→米ドル高の経路でドル円が昨年3月に記録した約1年5カ月ぶり高値111.72を試すシナリオも想定される為、来週もドル円のアップサイドリスクに注意が必要でしょう(Buy on dip継続方針)。

来週の予想レンジ(USDJPY):109.75ー112.25、(EURUSD):1.1850−1.2050

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は先週末金曜日に記録した約2ヵ月半ぶり安値1.1846をボトムに反発に転じると、今週末にかけて一時1.1976まで反発しました。しかし、上方に市場参加者が注目する一目均衡表雲下限や200日移動平均線が待ち構えていること、強い売りシグナルを示唆する三役逆転が継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱い(余程強いユーロ買い材料が出てこない限り、ユーロドルの続伸余地は限定的)と判断できます(事実、6/23−6/25まで3日連続で上髭を残すチャート形状)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@欧米金融政策格差(早期テーパリングを織り込むFRBの一方で、ECBは引き続きハト派的なスタンス。今週もラガルドECB総裁やレーンECB専務理事よりハト派的な見解が繰り返し述べられた)や、A北アイルランドを巡る英EU間の衝突リスク、B新型コロナウイルスの感染再拡大懸念(英国で拡大中の変異種が欧州大陸に広がる危険性)、C世界同時テーパリングに伴う金融市場の不安定化リスク(資産現金化需要のドル買い圧力)など、ユーロドルの下落を意識させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。来週は6/30に発表されるユーロ圏6月消費者物価指数や、7/2のユーロ圏5月生産者物価指数の他、ドイツ連銀バイトマン総裁や、デギンドスECB副総裁、フランス中銀ビルロワドガロー総裁、ラガルドECB総裁などの欧州当局者発言に注目が集まります。インフレ指標が市場予想を下回る場合や、欧州当局者よりハト派的な発言が見られる場合などには、欧米金融政策格差の観点でユーロ売り・ドル買いが強まる可能性もあるため、来週はダウンサイドリスクに注意が必要でしょう。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1850−1.2050

注:ポイント要約は編集部

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ドル円日足

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