米金利や株価にらみつつ為替はレンジ取引(6/21夕)

週明け21日の東京市場はドルが弱含み。先週末にはしっかり割り込めなかった110円を下回り、一時109.70円台まで値を下げている。

米金利や株価にらみつつ為替はレンジ取引(6/21夕)

米金利や株価にらみつつ為替はレンジ取引

〇本日のドル円はドルが弱含み、一時大幅に下落した日経平均の影響か、109.70-75まで値を下げる
〇しばらくは109.18-110.82のレンジをめぐる攻防に注意
〇市場の早期テーパリング観測強く、引き続き金利動向・米株安の動きにも関心高い
〇次の材料待ちの方向性乏しい状況、明日のパウエルFRB議長の議会証言前後まで続く可能性
〇本日、5月シカゴ連銀全米活動指数発表、要人発言の予定も
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.50-110.50

<< 東京市場の動き >>

週明け21日の東京市場はドルが弱含み。先週末にはしっかり割り込めなかった110円を下回り、一時109.70円台まで値を下げている。

前週末は、ロイターが「米政権、台湾へのワクチン支援を、75万回から250万回分に拡大」と報じ話題に。また、豪貿易相がワイン制裁関税で中国をWTOに提訴すると発言したことも思惑を呼んでいたようだ。
そうした状況下、ドル/円は110.15-20円で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。110.10-25円といった非常に狭いレンジでの一進一退をたどるも、底割れすると、そのまま続落。ザラ場ベースで一時1000円以上も下落した日経平均株価の動きが嫌気されていたようで、ドル/円は109.70-75円まで値を下げた。16時現在では、前記安値から小戻した109.90-95円で推移、欧米市場を迎えている。
なお、円は対ドル以外でも堅調に推移すると、ほぼ全面高の様相。ユーロ/円やポンド/円などは先週末に記録した直近安値を再び更新した。

一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ」と「中国情勢」について。
前者は、ブラジル保健省が「コロナ感染の死者数が米国に続いて50万人を突破した」と発表。またカナダも「7月21日まで米国を含む諸外国への不要不急の渡航の禁止を延長する」と公表した反面、イタリア政府は「ほぼ全土で21日に感染防止規制を解除する方針」、英国もジョンソン首相が「7月19日の制限措置解除を強く確信」とコメントするなど、依然として国によって大きな差異がうかがえる。世界的に見て感染が抑制されつつあることは間違いないものの、依然として予断は許さない。
対して後者は、前述したように豪中間での対立が依然として取り沙汰されるなか、日中についても今年20回目となる「尖閣領海、中国海警局の2隻による領海侵入」が観測されている。また、それらとは別に台湾が「ひとつの中国誓約を拒否」、香港行政長官は「中国本土との統合深化を目指す」と発言−−するなど百花繚乱な状況だった。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円は、先週一時110.82円まで上昇し、過去2週間程度のレンジ上限を超えてきたものの、結局元のレンジへと回帰。これまで幾度となくみてきた「当初のレンジを拡大しただけ」で終わった感を否めない。ともかく、しばらくは109.18-110.82円という若干ワイドなレンジをめぐる攻防に注意を払いたい。
先週末、プラード・セントルイス連銀総裁が「2022年に米利上げ開始の可能性も」と発言してこともあり市場の早期テーパリング観測は強く、また引き続き金利動向への関心も高いが、一方で米金利上昇の弊害ともいえる米株安の動きも気掛かりだ。NYダウに関していえば、時間外となる東京の先物取引も冴えず、一時100ドルを超える下落をたどっていた。このあとの現物市場においても、さらに株安が進行すれば為替市場は、ドル安・円高が優勢になっても不思議はないかもしれない。

テクニカルに見た場合、ドル/円は意外と動いているものの、基本的には往来相場。年初来のドル高値110.97円を超えるような動きには至っていない。まずは110円±50銭、それを超えても109.18-110.82円というレンジにはとどまりそうで、しばらくは次の材料待ちといったところか。方向性の乏しい状況は、明日のパウエルFRB議長の議会証言前後まで続く可能性もある。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「ロシア情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」、「東京五輪・パラリンピックをめぐる動き」−−などが注視されている。
一方、本日は米経済指標として、5月のシカゴ連銀全米活動指数が発表されるほか、ウィリアムズNY連銀総裁の講演なども実施される見込みだ。後者に関連していえば、先で取り上げたように明日のパウエル議会証言が目先のハイライトになろうが、本日も要人発言には要注意。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.50-110.50円。先週末高値の110.48円が最初の抵抗。抜ければ110.82円、110.97円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、すぐ下に移動平均の21日線も位置する本日東京安値109.70-75円が最初のサポートか。しっかり割り込むと直近安値109.18円が意識されそうだ。

米金利や株価にらみつつ為替はレンジ取引

ドル円日足


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