来週の為替相場見通し:『ドル高再開に警戒。来週は米雇用統計がメインイベント』(5/29朝)

ドル円は4/23に記録した直近安値107.47をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、一時110.21(約1ヶ月半ぶり高値圏)まで急伸しました。

来週の為替相場見通し:『ドル高再開に警戒。来週は米雇用統計がメインイベント』(5/29朝)

『ドル高再開に警戒。来週は米雇用統計がメインイベント』

〇今週のドル円週初108.57まで反落の後、週末にかけて110.21まで急伸
〇FRB関係者の年内テーパリング開始示唆、米大統領の大規模予算提案、米PCEコア伸び率上昇が要因
〇ユーロドルウイルス終息期待、ECB早期テーパリング観測に1.2267まで急伸するも米金利上昇で失速
〇ドル円今週の上昇で転換線、基準線を上抜け、三役好転、強気のパーフェクトオーダー、地合い強い
〇ファンダメンタルズも米インフレ懸念台頭と早期テーパリング観測、大規模財政出動等ドル支援材料増加
〇ドル円上昇がメインシナリオ、来週は米雇用統計はじめ重要指標多く、結果次第でドル高加速の可能性も
〇来週の予想レンジ(USDJPY):108.50ー111.00、(EURUSD):1.2050−1.2300

今週のレビュー(5/24−5/28)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初108.94で寄り付いた後、@中国国家発展改革委員会による「行き過ぎた投機が商品価格を押し上げた」「商品先物を巡るいかなる違反も容認しない」との発言や、A上記@を背景としたリスク回避の円買い圧力(資源国通貨の下落)、B米長期金利の伸び悩みが重石となり、翌5/25にかけて、週間安値108.57まで反落しました。

しかし、一目均衡表基準線に続落を阻まれると、C対ユーロでのドル買い圧力や、Dロンドンフィキシングに向けたドル買いフロー、E市場で燻る米早期テーパリング観測(クオールズFRB副議長は5/25に「資産購入縮小の条件を年内に満たすと予想」と発言)、F米ニューヨーク・タイムズ紙による「バイデン米大統領が2022会計年度の予算教書で6兆ドルの歳出を求める計画」との報道、G米長期金利の急上昇(国債増発懸念)、H米PCEコアデフレータ(結果3.1%、予想2.9%、※前年同月比)の伸び率上昇、I心理的節目110.00突破に伴うロスカット(ストップBUY)が支援材料となり、週末にかけて、4/6以来、約1ヶ月半ぶり高値となる110.21まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局109.84近辺での越週となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.2178で寄り付いた後、@欧州圏における新型コロナウイルスの終息期待や、A上記@に伴う欧州経済の回復期待(欧州連合はワクチン接種を完了した旅行者の入国を正式に承認→ロックダウン緩和に伴う欧州経済の回復期待)、BECBによる早期テーパリング観測(市場では年後半にかけての資産買い入れ縮小を織り込む展開)、C米長期金利の伸び悩み(米ドル売り)、Dドイツ5月IFO企業景況感調査(結果99.2、予想98.2、前回96.6)の力強い結果が支援材料となり、翌5/25にかけて、1/8以来、約4ヵ月半ぶり高値となる1.2267まで急伸しました。

しかし、ボリンジャーバンド上限に続伸を阻まれると、EパネッタECB専務理事による「6/10のECB理事会後に資産買い入れペースを落とすべきではない」との発言や、F上記Eを背景としたECBによる早期テーパリング観測の後退(欧州債利回り低下→ユーロ売り)、Gロンドンフィキシングに向けてのドル買いフロー、Hバイデン米大統領による「6兆ドルの歳出を求める計画」発言、I米早期テーパリング観測を背景とした米長期金利の上昇再開が重石となり、週末にかけて、週間安値1.2133まで反落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、結局1.2195近辺での越週となっております。

来週の見通し(5/31−6/4)

<ドル円相場>
ドル円は4/23に記録した直近安値107.47をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、一時110.21(約1ヶ月半ぶり高値圏)まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転(一目均衡表転換線と基準線のゴールデンクロス+ローソク足の雲上限上抜け+遅行線の26日前のローソク足上抜けが全て揃う状態)や強気のパーフェクトオーダー(移動平均線が上から順番に短期・中期・長期で並ぶ状態)も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの「強さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります(ダウ理論で見ても高値と安値を同時に切り上げる上昇トレンドの形が成立)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米インフレ懸念の台頭(米4月消費者物価指数、米4月生産者物価指数、米4月PCEコアデフレータが全て市場予想を上回る結果)や、A上記@を背景とした米早期テーパリング観測の高まり(先週発表されたFOMC議事要旨でも一部の参加者が資産買い入れペースの調整を巡る議論開始が適切になる可能性があると指摘)、B上記@Aを背景とした米長期金利の上昇圧力、C金融市場の不安定化リスク(過剰流動性相場の逆流リスク→資産現金化需要のドル買い誘発)、Dバイデン米政権による6兆ドル規模の歳出計画など、ドル円相場の続伸を意識させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は、5/31が英米市場休場ながら、6/1以降に重要指標が相次ぎます(6/1の米5月ISM製造業景況指数、6/2のベージュブック、6/3の米5月ADP雇用統計、米5月ISM非製造業景況指数、6/4の米5月非農業部門雇用者数および同失業率など)。米経済指標が力強い結果を示した場合、米早期テーパリング観測の高まりを通じて、米長期金利上昇→米ドル高の流れが一段と強まる可能性があり、来週はアップサイドリスクに特に注意が必要でしょう。

来週の予想レンジ(USDJPY):108.50ー111.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は本年3/31に記録した安値1.1703をボトムに反発に転じると、今週前半にかけて、約4ヵ月半ぶり高値となる1.2267まで上昇しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、90日移動平均線や200日移動平均線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転(一目均衡表転換線と基準線のゴールデンクロス+ローソク足の雲上限上抜け+遅行線の26日前のローソク足上抜けが全て揃う状態)や強気のパーフェクトオーダー(移動平均線が上から順番に短期・中期・長期で並ぶ状態)も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは「強い」と判断できます(週末にかけて反落するもボリンジャーミッドバンドや一目均衡表基準線に下支えされる形で持ち直す展開に)。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@ECBによる早期テーパリング観測が後退しつつあること(パネッタECB専務理事による「6/10のECB理事会後に資産買い入れペースを落とすべきではない」との発言)や、A米早期テーパリング観測を背景に米長期金利が再び上昇に転じ始めたこと(欧米名目金利差に着目したユーロ買い・ドル売り)、BラガルドECB総裁によるユーロ高牽制姿勢の継続など、ユーロドルの下落を意識させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方ではユーロドル相場の下落を来週のメインシナリオとして予想いたします(テクニカル的な強さを残しながらも、ファンダメンタルズ主導で下落する展開を想定)。尚、来週は6/1に予定されているユーロ圏5月HICP速報値に注目が集まります。インフレ鈍化が示されれば、ECBによる早期テーパリング観測が後退し(ラガルドECB総裁の「インフレ高進は一時的」との発言の裏付け材料)、欧米名目金利差拡大を背景にユーロ売り・ドル買いに拍車がかかる可能性もあり、注意が必要でしょう。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.2050−1.2300

『ドル高再開に警戒。来週は米雇用統計がメインイベント』

ドル円日足

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