ドルの下値リスク軽減も上値は重くレンジか(5/11夕)

11日の東京市場は、揉み合い。株価の動きに一喜一憂しつつも20ポイント強というレンジ取引に終始している。

ドルの下値リスク軽減も上値は重くレンジか(5/11夕)

ドルの下値リスク軽減も上値は重くレンジか

〇本日のドル円、108.75-109.00程度の20ポイント強のレンジ取引、方向性に乏しい
〇ドル円相場の東京高・欧米安の流れ止まる、次の方向性に注視
〇日経平均株価急落、その影響は限定的だがこの後のNYダウ等世界の株価に注目
〇ドルの下値不安が目先後退、短期的にはトレンドレスで108-109円を中心としたレンジ取引続くか
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは108.50-109.40

<< 東京市場の動き >>

11日の東京市場は、揉み合い。株価の動きに一喜一憂しつつも20ポイント強というレンジ取引に終始している。

ドル/円は108.80-85円で寄り付いたものの、積極的な動意に欠ける。108.75-109.00円程度のレンジ内で方向性は乏しい動きだった。日経平均株価が大引けベースでも900円を超える急落をたどったほか、NYダウ先物やナスダック先物といった時間外取引の米株も冴えなかったが、その影響は限定的なものにとどまっている。16時現在では、108.85-90円で推移し、欧米市場を迎えていた。

一方、材料的に注視されていたものは、「米パイプラインへのサイバー攻撃」と「新型コロナ」について。
前者は、週末に話題となった「全米最大とされるパイプラインがサイバー攻撃を受け操業停止」との話について、バイデン米大統領は「ロシア政府が関与した証拠はないが、事態への対応でロシア当局にもある程度の責任がある」と主張。暗にロシアの関与を指摘したうえで、「6月で調整している米露首脳会談で対応を協議する意向」も示していた。動静に注目だ。そうしたなか、当の米パイプライン運営会社は「週末までに操業再開めざす」との声明を発表している。

対して後者は、好悪材料が依然として交錯。英国ではジョンソン首相が「イングランドのコロナ抑制緩和」を発表するなど明るい話も聞かれたが、それは飽くまで「イングランド」のみ。スコットランド、北アイルランド、ウェールズによる独自の規制措置は継続される見通しだ。また、WHOは昨年インドで最初に特定された新型コロナウイルス変異株、いわゆる「インド型コロナ」を世界的に懸念される変異株に指定したと発表している。ワクチンがかなり普及しつつあるとはいえ、変異株による再感染拡大への懸念も根強い。

<< 欧米市場の見通し >>

「ようやく」と言うべきなのか、ともかく先週は一週間を通して観測されていたドル/円相場の「東京高・欧米安」の流れが昨日止まった。また、それに続く本日の東京時間も「ドル高」とはなかなか指摘しにくい値動きだ。いずれにしても、ドル/円は狭くとるなら108.30-109.70円程度の新ボックスを形成し、しばらくはそのなかでの一進一退を続ける可能性もある。次の方向性をしっかりと注視したい。
材料的には、本日もそれほど材料が多いわけではないなか、前述したように東京時間に日経平均株価が急落したこともあり、世界の株価にまずは注目。ちなみに本稿執筆時、東京16時前後、代表的な英株価指数のFT指数は1%ほどの下落で取引をスタートしていた。果たして、このあとのNYダウなど米株の動きは如何に。一方、それとは別に先週末のスコットランド議会選やジョンソン首相の官邸改修費用をめぐるスキャンダルなど、話題が豊富な英国情勢を気に掛ける向きも多いようだ。場合によっては、ポンドが市場を引っ張る存在になる可能性もあるだろう。

テクニカルに見た場合、ドル/円は先週末のNYベースで下回った移動平均の21日線を、昨日やはりNYクローズベースで上回ってきた。もうひとつの懸案事項であった「先週末の米雇用統計発表前レベルである109.20-30円を回復」は未達に終わったものの、ドルの下値不安が目先後退したことは間違いなさそう。先で取り上げたように短期的にはトレンドレス、108-109円を中心としたレンジ取引で、次の方向性を探るような値動きが続く公算が大きい気もしている。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、3月の米雇用動態調査[JOLTS]が発表される予定となっている。通常さほど関心の高い指標ではないが、先週末発表された4月の米雇用統計が奮わなかっただけに、今回はいつもより注目度が増している感も否めない。また、それとは別に米財務省による3年債の入札のほか、地区連銀総裁らによる講演機会は数多く一応要注意。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは108.50-109.40円。昨日同様、まずは米雇用統計発表前に推移していた109.20-30円をめぐる攻防に注目。しっかり回復すれば、ドルはさらなる戻りも期待できそうだ。
対するドル安・円高方向は、108.60円前後に弱いサポートが位置しており、割り込むと先週安値の108.34円がターゲットになる。

ドルの下値リスク軽減も上値は重くレンジか

ドル円日足


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