ドル円、方向感に欠ける値動きが継続。本日は米雇用統計がメインイベント
〇ドル円109円台前半で方向感のない取引が継続
〇G7での対中共同声明、中国の(訂正×豪州の)中豪戦略経済対話の全活動無期限停止発表等が重石
〇一方で昨晩の米指標は軒並み予想を上回り一方的なドル売りにはならず
〇ユーロドル、昨晩の欧州圏指標の好調に堅調推移、1.20台後半での取引
〇ドル円テクニカル的に下値余地は限定的
〇ファンダメンタルズもドル買い材料多いが対中地政学リスクには一定の留意が必要
〇ドル円上昇がメインシナリオ、本日米雇用統計要注視
〇本日の予想レンジ:108.70ー109.70
海外時間のレビュー
6日(木)のドル円相場は方向感に欠ける展開。@米長期金利の低下を受けたドル売り圧力や、A中国を巡る地政学的リスク(G7外相会合で中国などを最大の脅威と指摘する共同声明が採択されたことや、中国が中豪戦略経済対話の枠組みに基づく全活動を「無期限停止する」と発表したこと等)が重石となり、欧州時間朝方にかけて、一時109.06まで下落しました。しかし、心理的節目109.00をバックに下げ渋ると、B米経済指標が軒並み市場予想を上回ったこと(米1ー3月非農業部門労働生産性速報値や米新規失業保険申請件数など)や、C米長期金利が下げ幅を縮小したこと等が支援材料となり、米国時間にかけて、一時109.40まで反発しました。もっとも、アジア時間に記録した日通し高値109.43をバックに伸び悩むと(戻り売り圧力が強まると)、D米長期金利が再度低下に転じたことや、E米雇用統計を控えたポジション調整が重石となり、米国時間午後にかけて、日通し安値109.00まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、109.09近辺で推移しております。
6日(木)のユーロドル相場は堅調な値動き。@米長期金利の低下を受けたドル売り圧力や、Aドイツ3月製造業新規受注(結果27.8%、予想25.6%、※前年同月比)の良好な結果、Bユーロ圏3月小売売上高(結果12.0%、予想9.4%、※前年同月比)の力強い結果、C欧州圏における新型コロナウイルスの終息期待が支援材料となり、米国時間にかけて、高値1.2072まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.2060近辺で推移しております。
尚、昨日は英ポンドが乱高下しました。注目された英中銀金融政策委員会(MPC)にて、政策金利の据え置き+資産購入規模の現状維持が決定されると、直後はテーパリング観測の後退を背景に英ポンドが急落する動きとなりました。しかし、その後、ホールデン委員が資産買い入れ規模の縮小(8750億ポンドから8250億ポンド)を主張していたことが判明すると、テーパリング観測を再度織り込む形で英ポンドが反発する荒い値動きとなりました。現在も、スコットランド議会選挙への警戒感から不安定な値動きが続いております。
本日の見通し
ドル円は一時109.00まで下げ幅を広げるも、トレンドの方向性を示唆するボリンジャーミッドバンドより上側の位置をキープしていること、一目均衡表雲上限がサポートとして機能する可能性が高いこと等から、テクニカル的に見て、地合いは強い(下値余地は限定的)と判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても、@世界的なテーパリング観測の高まり(カナダ中銀のテーパリング決定を皮切りに、ECBやRBA、BOEなども早期テーパリングの可能性を滲ませる展開に。市場参加者の間では6月FOMCや8月ジャクソンホールでFRBもテーパリングを宣言するのではないかとの見方が根強い。日米金融政策格差の観点でドル買い・円売りに繋がる材料)や、A新型コロナウイルスの終息期待(6月以降、米企業の従業員が段階的にオフィス勤務に戻る可能性あり→米経済の回復期待)など、ドル買い・円売りを意識させる材料が増えつつあります(但し、中国を巡る地政学的リスクが高まっている点には一定の留意が必要)。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は日本時間21時30分に予定されている米4月雇用統計に注目が集まります。パウエルFRB議長は今週月曜日(5/3)の講演で「雇用の最大化を広範且つ包括的な目標とみなしている」と発言し、インフレよりも雇用を優先する構えを強調しました(デュアルマンデートにおいてインフレ容認+雇用優先の姿勢。金融政策の先行きを読み解く上で、雇用関連指標への注目度が増している状態)。この為、今晩発表される米雇用統計が力強い結果を示した場合、6月FOMCに向けてテーパリング観測再燃→米長期金利上昇→ドル高の波及経路に繋がる恐れもあり、注意が必要でしょう。
本日の予想レンジ:108.70ー109.70
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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