ドル円、上下しつつも方向感に欠ける展開。イエレン氏は金利上昇リスクを警告
〇ドル円109円台前半で方向感に欠ける動き
〇中国軍機台湾防空識別圏に侵入のニュースで欧米株一時急落
〇イエレン米財務長官追加歳出増加によるインフレ、金利上昇リスクに言及
〇ユーロドル欧州時間朝方に1.1999まで下落するも下げ渋る
〇ドル円テクニカルなサポート死守され、米長期金利の上昇圧力等でドル買い円売り地合い継続
〇本日米4月ADP雇用統計、ISM非製造業景況指数等要注視
〇ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想、本日の予想レンジ:109.00ー110.00
海外時間のレビュー
4日(火)のドル円相場は上下しつつも方向感に欠ける値動き。米長期金利上昇(米早期テーパリング観測再燃→米長期金利上昇→ドル高)を背景に、欧州時間朝方にかけて、高値109.49まで上値を伸ばすも、前日安値109.71(4/13以来、約3週間ぶり高値)をバックに伸び悩むと、@中国軍用機が台湾防空識別圏(ADIZ)に侵入したとの一部報道や、A上記@を背景としたリスク回避ムードの高まり(欧米株がフラッシュクラッシュ的に一時急落)、B米3月貿易収支(結果▲744億ドル、予想▲743億ドル)の赤字額拡大(1992年の統計開始来最大を記録→ドル売り)、C米長期金利の急低下が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値109.04まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、Dイエレン米財務長官による「追加歳出増加の影響でインフレや金利が上昇する可能性がある」との発言(米金利先高感再燃→米長期金利上昇→ドル高)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間6時15分現在)では、109.33近辺で推移しております。
4日(火)のユーロドル相場は上値の重い展開。米長期金利の上昇を背景に、欧州時間朝方にかけて安値1.1999まで下げ幅を広げるも、心理的節目1.2000をバックに下げ渋ると、米国勢参入後に持ち直す動きとなりました。しかし、@中国軍用機が台湾防空識別圏(ADIZ)に侵入したとの一部報道や、A上記@を背景としたリスク回避ムードの高まり(欧米株の急落)、Bイエレン米財務長官による金利上昇を警戒する発言、C上記Bを背景とした米長期金利の上昇が重石となると再び値を下げ、本稿執筆時点(日本時間6時15分現在)では、1.2010近辺で上値の重い展開が続いております。
本日の見通し
ドル円は一時109.04まで下げ幅を広げるも、節目109.00をバックに下げ渋る動きとなりました。@ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表転換線を死守できていること、AFRBによる早期テーパリング観測が再燃しつつあること(テーパリング観測が高まるFRBと、金融緩和脱却の糸口が見えないBOJ→日米金融政策格差のドル買い・円売り)、B新型コロナウイルスの終息期待(米ゴールドマンサックス社は米国従業員の6月オフィス復帰を検討)、C米長期金利の上昇圧力(イエレン米財務長官が金利上昇の可能性に言及)などを踏まえると、ドル買い・円売り地合いの継続が意識されます。
こうした中、本日は米4月雇用統計(5/7)の前哨戦となる、米4月ADP雇用統計、米4月ISM非製造業景況指数(雇用項目)に注目が集まります。パウエルFRB議長は一昨日の講演で「雇用の最大化を広範且つ包括的な目標とみなしている」と発言し、一時的なインフレ高進を許容するスタンス(金融政策判断に於いて、インフレよりも雇用を優先する姿勢)を滲ませました。この為、市場ではFRBのテーパリング時期を見通す上で、雇用関連指標への注目度が高まっております。一昨日発表された米4月ISM製造業景況指数の雇用項目は減速を示す冴えない結果となりましたが、本日発表される上記2指標が堅調な結果となれば、米早期テーパリング観測を再び織り込む形で、米長期金利上昇→ドル高の流れが加速する可能性もあるため、注意が必要でしょう。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:109.00ー110.00
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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