ドル円見通し 108円台回復、米長期債利回り低下一服とFOMC前で買い戻し(21/4/27)

26日はやや落ち着き、夕刻に107.63円まで反落したものの安値更新を回避して深夜には108.19円へ上昇して23日深夜高値108.14円を上抜いた。

ドル円見通し 108円台回復、米長期債利回り低下一服とFOMC前で買い戻し(21/4/27)

ドル円見通し 108円台回復、米長期債利回り低下一服とFOMC前で買い戻し

〇ドル円、4/26深夜108.19へ上昇、4/23深夜高値108.14を上抜く、4/27序盤にさらに高値を切り上げる
〇3/31以降ほぼ直線的な下降トレンドだったが、抵抗線突破を試し始めている
〇米10年債利回り、4/26は1.57%で終了、低下傾向がストップしている
〇NYダウは先週末比61.92ドル安、ナスダックは121.97ポイント高、いずれも様子見の動き
〇4/27-28のFOMC、テーパリングに触れるかどうか注目される
〇108円以上での推移か一時的に割り込んでも切り返すうちは、108.54試しとする
〇107.70割れからは107.46試し、底割れからは107円から106.50のゾーンを目指すとみる

【概況】

ドル円は先週末の4月23日夜に107.46円まで下落して3月31日高値110.96円以降の安値を更新したが、週明けの26日はやや落ち着き、夕刻に107.63円まで反落したものの安値更新を回避して深夜には108.19円へ上昇して23日深夜高値108.14円を上抜いた。
3月31日以降、ほぼ直線的な下降トレンドで戻り高値を切り下げてから安値も切り下げるパターンを繰り返してきたが、26日深夜高値への上昇でこれまでの下降トレンドの抵抗線まで戻し、27日午前序盤にさらに高値を切り上げており抵抗線突破を試し始めている。

米商務省が発表した3月の耐久財受注は前月比0.5%増で市場予想の2.3%増を下回った。2月は0.9%減で寒波の影響が出たが、そこからは改善したものの期待ほどではなかった。輸送関連を除くと1.6%増、国防を除くと0.5%増、自動車・同部品は5.5%増、設備投資の先行指標となる航空機を除く非国防資本財受注は0.9%増となった。これらに対する市場の反応は限定的だった。
4月27-28日の米FOMC(29日未明に声明発表、議長会見)を控え、4月から下げてきたものが買い戻され、上昇してきたものがいったん利益確定売りに押されるなどポジション調整も入りやすい状況となっている。

【米10年債利回りは下げ渋り続く】

4月26日の米10年債利回りは先週末比0.01%上昇の1.57%で終了。4月16日に1.52%台へ低下したところから20日に1.63%へ戻し、22日に再び1.53%台まで低下したものの新たな水準切り下げへは進まず、26日は一時1.60%手前まで戻すなど1.60%以下の低水準にとどまっているものの落ち着いた動となり、3月30日のピーク時に付けた1.77%からの低下傾向がストップしている。
4月26日は米2年債600億ドルの入札がやや低調、5年債610億ドルの入札は平均的な応札で特に波乱はなかった。27日には7年債620億ドルの入札が予定されている。昨年末に1.9兆ドル規模のコロナ対策が決定・実行に入り、トランプ政権から続く財政出動拡大による大量の国債入札が債券需給緩和による利回り上昇を招いてきたが、大量入札前に利回りがいったん上昇しても無難に通過する中で低下に転じる等、利回り水準が昨年と比較して大幅に上昇してきたことで応札も確りしており、波乱的な利回り急上昇のきっかけにならずに推移してきている。

4月26日の米株式市場はまちまち、NYダウは先週末比61.92ドル安と下げたがナスダック総合指数は121.97ポイント高と上昇した。いずれも様子見の動き。4月27-28日に米連銀(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC=金融政策決定会合)がある。政策金利と量的緩和による資産買い入れ枠は現状維持と予想されているが、ワクチン普及と感染拡大ペースの鈍化による景気回復が顕著になる中で米経済指標およびインフレ指標が良好さを顕著にしているため、今年後半にはテーパリング(量的緩和政策での資産購入の段階的縮小)を始めるのではないかとの見方もされ始めているため、今回のFOMCでそのあたりに触れるのかどうか注目される。また金融機関の超過準備に適用する付利金利(IOER)の引き上げの有無についても注目されているようだ。

米国家経済会議(NEC)のディーズ委員長は4月26日、子育て支援を柱とした成長戦略の第2弾の財源としてバイデン大統領が4月28日の議会演説において、富裕層を対象に株式などの譲渡益(キャピタルゲイン)課税の増税を提案するとした。現行の20%から凡そ2倍に引き上げる方針を示すとされ、所得税の最高税率も現行の37%から39.6%に引き上げることも検討されているという。バイデン政権は3月末に「国家雇用計画」として8年間総額2兆ドル超となるインフラ投資計画を発表しているが、それに加えて社会福祉政策とし「米国家族計画」を発表し、両計画合わせて4兆ドル規模となる見通し。

共和党による反対や規模縮小への圧力もかかると思われるが、財政出動は今後も継続し、米国債の大量発行は続く。米連銀による米国債買い入れが現状のペースで推移するうちは債券需給緩和による利回り高騰は回避されるかもしれないが、それでも徐々に利回り上昇が続いてインフレ率の2%超への進展を追いかける展開になりやすい環境ではあると思われる。このためテーパリング開始時期が早まる場合は、その先の実質ゼロ金利解除への思惑も含めて長期債利回りが一段と上昇するきっかけにもなりえるところと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月20日午前安値を前回のサイクルボトム、20日夕高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして23日午前から27日午前にかけての間への下落を想定してきた。23日夜安値から23日深夜に108円超えへ戻し、26日深夜へ戻り高値を切り上げているので23日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしていると思われる。高値形成期は23日夜から27日夜にかけての間と想定されるので既に反落注意期にあるが、下落期間が長引いた後に上昇基調へ転じる場合は当初のサイクルトップ形成期が伸びることも多いので、107円台終盤で確りするうちは上昇余地ありとし、107.70円割れを弱気転換注意、23日夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして28日夜から30日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では26日夜への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜き返しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。弱気転換は先行スパンからの転落からとし、その際は遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は4月19日安値から23日夜安値への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる。このため50ポイント以上での推移か一時的に50ポイントを割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとして70ポイント台を目指すとみるが、50ポイント割れを切り返せなくなるところからは下げ再開を警戒する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月23日夜安値107.46円を下値支持線、20日夕高値108.54円を上値抵抗線とする。
(2)108円以上での推移か一時的に割り込んでも切り返すうちは20日夕高値試しとし、高値更新から続伸する場合は108.75円前後へ上値目途を引き上げる。108.50円以上は反落注意圏とするが、108円台を維持しての推移なら28日も戻りを試しやすいと予想する。
(3)107.70円割れからは下げ再開を警戒して23日夜安値試しとし、底割れからは新たな下落期入りとして107円から106.50円にかけてのゾーンを目指すとみる。106.75円以下は反発注意とするが、107.70円以下での推移なら28日は下向きで進みやすいと見ている。

【当面の主な予定】

4/27(火)
休場、南ア
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
未 定 (日) 日銀展望レポート
未 定 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
22:00 (米) 2月 連邦住宅金融局(FHFA)住宅価格指数 前月比 (1月 1.0%、予想 1.0%)
22:00 (米) 2月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (1月 11.1%、予想 11.6%)
23:00 (米) 4月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (3月 109.7、予想 112.1)
23:00 (米) 4月 リッチモンド連銀製造業指数 (3月 17、予想 22)
26:00 米財務省7年債、2年物変動利付債入札

4/28(水)
バイデン米大統領、上下両院合同会議で演説
OPECプラス共同閣僚監視委員会(JMMC)、閣僚級会合
08:50 (日) 3月 小売業販売額 前年同月比 (2月 -1.5%、予想 4.6%)
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価 前期比 (10-12月 0.9%、予想 0.9%)
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価 前年同期比 (10-12月 0.9%、予想 1.4%)
15:00 (独) 5月 GFK消費者信頼感 (4月 -6.2、予想 -4.2)
23:00 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC) 政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る