ドル円見通し 年初来上昇幅の3分の1を押す(21/4/20)

ドル円は4月19日夕刻安値で108.00円まで下落、その後も108円台序盤にとどまっており、安値を出し切って反騰入りする気配を見せられずにいる。

ドル円見通し 年初来上昇幅の3分の1を押す(21/4/20)

ドル円見通し 年初来上昇幅の3分の1を押す

〇ドル円、4/19夕刻安値108.00まで下落、その後も108円台序盤にとどまる、反騰入りの気配見られず
〇ユーロ・ポンド・豪ドルは対ドルで高値水準、新興国通貨も高値へ上昇
〇米10年債利回り、4/19夜に1.61%台へ上昇、低下傾向一巡して再び上昇気配見せ始める
〇長期債利回りの再上昇が力強さを見せるようになると、ドル高へ回帰する可能性もあるか
〇4/19安値で年初来上昇幅の3分の1押しに到達、安値更新が続くなら107円前後試しへ向かう可能性も
〇108.50以下での推移中は一段安警戒とし、108円割れからは107.30から107.00試しとみる
〇108.50超えからはいったん戻しに入るとみて、108.70から109円を試すとみる。

【概況】

ドル円は4月19日夕刻安値で108.00円まで下落、その後も108円台序盤にとどまっており、安値を出し切って反騰入りする気配を見せられずにいる。1月6日安値102.57円から3月31日高値110.96円への上昇は米長期債利回りの上昇が一段と加速したことを主要因としていたが、その後の下落は米長期債利回りの上昇が10年債利回りで見れば3月30日の1.77%台でピークアウトとなり4月16日未明には1.53%近辺前で大幅低下してきたことによるドル安の再燃であった。米10年債利回りは19日夜に1.61%台へ上昇するなど低下傾向が一巡して再び上昇気配を見せ始めているが、3月末水準と比較すればかなり低下した状況にとどまっての推移だったために19日の為替市場はドル安を継続した。

【米10年債利回りは低下一服でやや持ち直しだがドル安続く】

ユーロドルは19日夜高値で1.20ドル台に到達して3月4日以来の高値水準に到達、ポンド/ドルは1.380ドルの壁を超えたことで勢いついて1.40ドル手前まで急伸して3月18日以来の高値水準に到達、豪ドル米ドルも0.778ドルまで上昇して4月1日以降の戻り高値を更新している。新興国通貨も南アランドが昨年4月来最高値を更新、メキシコペソも3月8日以降の高値を更新して年初高に迫るところまで上昇してきている。米長期債利回りがさらに上昇してくるようだとドル安にもブレーキがかかるが、3月30日をもって頭打ちし、低水準にとどまりながらさらに低下傾向を続ける可能性があること、低水準にとどまりながら株高基調が続けばリスクオン優先でのドル安も継続しやすいのではないかとの市場心理が背景にある印象だ。

米長期債利回りの年度末への上昇とその後の低下には、日本の機関投資家等による年度替わりにおける米国債売りと買い直しの動きが反映し、それに追従した動きが流れを加速したとの見方もある。1.80%手前で頭打ちとなったことで利回り益確保のために債券買いが急がれた可能性もある。しかし米バイデン政権による大規模な財政出動を伴う景気対策の拡大は続き、米国債の大量発行も継続してゆくこと、また景気対策が実効性を伴う期待感があるうちは株高も進行して株高債券安により長期債利回り上昇が再開する可能性もあり、コロナ不況後の急激な景気回復による需給ギャップが当面してインフレ進行へ帰結すればインフレ率を追いかけて長期債利回りが1.80%を超えて2%へ迫る可能性もあると思われる。為替市場は米長期債利回り低下の現状を享受するうちはドル安有利の展開を継続しうるが、長期債利回りの再上昇が力強さを見せる段階からはドル高へ回帰することも考えておく必要があると思われる。

【年初からの上昇に対する調整安のめど】

ドル円は1月6日安値102.57円から3月31日高値110.96円まで丸3か月の上昇で8.39円の上昇幅となった。これに対する3分の1押しが108.16円であり4月19日安値で到達した。その下は半値押しの106.76円となり、安値更新が続くようだと107円前後試しへ向かう可能性が出てくる。
日足チャートにおいては2月の押し目を下支えした26日移動平均を割り込んで52日移動平均に到達するところまで下げている。52日移動平均前後で下げ止まればその後の反騰で26日移動平均を上抜き返すところから上昇再開感が強まりやすいが、52日移動平均を割り込んだ状況で横ばい推移程度にとどまる場合、52日移動平均前後が上値抵抗線となった状況で上値が重くなり、さらに安値試しへ向かう可能性も出てくるため、半値押しラインを試す可能性も高まってくると思われる。

ただし、昨年3月24日の戻り天井から今年1月6日までの下落期における調整的な中間反騰は、11月11日高値への2.53円高、8月13日高値への2.88円高等の他、6月5日高値にかけては3.86円高の反騰も入っており、それらの逆ケースとして現状を考えれば直近の高値から3円近い下落ないしは4円近い下落でもまだ上昇トレンド継続中の調整安の範囲と考えられる。
年初からの上昇は、週足レベルでは80週前後の底打ちサイクルによる上昇、月足レベルでは4年周期及び8年周期レベルの底打ちサイクルによる上昇であり、3か月の反騰で終わるというよりもまだ続きが残っていると考えたいところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月9日夜高値を起点とした下落が続いているが、8日夜安値から5日を経過したために4月16日時点では14日午前安値を直近のサイクルボトムとし、既に底割れにより新たな弱気サイクル入りしているとして19日午前から21日午前にかけての間への下落を想定した。19日夕へ一段安してからも安値圏にとどまっているのでまだ一段安余地ありとみる。また直近のサイクルボトムを15日深夜安値とすればボトム形成期が20日夜から22日深夜にかけての間へ延長される可能性もあると考える。強気転換は108.50円超えからとし、その際は20日の日中から22日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では13日夜の下落で遅行スパンが再び悪化、先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。安値更新が止まれば遅行スパンは好転しやすくなるので、遅行スパン好転からはいったん戻りを試しに入るとみるが、その際は先行スパンが上値抵抗帯になってくるとみる。本格的な統制回復には先行スパン突破が必要と思われる。

60分足の相対力指数は19日夕安値形成時に20ポイント割れへ低下し、その後は持ち直しているものの50ポイントに届かずにいるのでまだ一段安余地ありとみる。ただし、19日夕安値を割り込んで安値更新に入る際に指数のボトムが切り上がる強気逆行気配がみられるところからは反騰入り注意とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108円を下値支持線、108.50円を上値抵抗線とする。
(2)108.50円以下での推移中は一段安警戒とし、108円割れからは107円台序盤(107.30円から107.00円)試しとみる。107.30円以下は反騰注意とするが、108.50円以下での推移なら21日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)108.50円超えからはいったん戻しに入るとみて108円台終盤(108.70円から109円)を試すとみる。109円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、108.50円以上での推移なら21日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4/20(火)
10:30 (豪) 豪準備銀行(豪中銀)、金融政策会合議事要旨公表
13:30 (日) 2月 第三次産業活動指数 前月比 (1月 -1.7%、予想 0.5%)
15:00 (英) 3月 失業保険申請件数 (2月 8.66万件)
15:00 (英) 3月 失業率 (2月 7.5%)
15:00 (英) 2月 失業率・ILO方式 (1月 5.0%、予想 5.0%)
15:00 (独) 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 0.7%、予想 0.6%)

4/21(水)
休場 インド、ブラジル、ベトナム
国際オリンピック委員会(IOC)理事会
07:45 (NZ) 1-3月期 消費者物価 前期比 (10-12月 0.5%、予想 0.8%)
07:45 (NZ) 1-3月期 消費者物価 前年同期比 (10-12月 1.4%、予想 1.5%)
09:30 (豪) 3月 ウエストパック景気先行指数 前月比 (2月 0.02%)
10:30 (豪) 3月 小売売上高 前月比 (2月 -1.1%、予想 1.0%)

15:00 (英) 3月 消費者物価指数 前月比 (2月 0.1%、予想 0.4%)
15:00 (英) 3月 消費者物価指数 前年同月比 (2月 0.4%、予想 0.8%)
15:00 (英) 3月 消費者物価コア指数 前年同月比 (2月 0.9%、予想 1.1%)
15:00 (英) 3月 小売物価指数 前月比 (2月 0.5%、予想 0.4%)
15:00 (英) 3月 小売物価指数 前年同月比 (2月 1.4%、予想 1.6%)
19:30 (英) ベイリー英中銀総裁、講演
23:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)


注:ポイント要約は編集部

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