ドル円見通し 米長期債利回りが一段と低下、3月31日以降の安値を更新(21/4/16)

15日夜には14日午前安値も割り込んで108.60円まで安値を切り下げている。

ドル円見通し 米長期債利回りが一段と低下、3月31日以降の安値を更新(21/4/16)

ドル円見通し 米長期債利回りが一段と低下、3月31日以降の安値を更新

〇ドル円、4/15夜に4/14午前安値108.74も割り込み、108.60まで安値を切り下げる
〇4/9深夜109.95まで戻したところを起点として、三段目の下げに入っている印象
〇米10年債利回り一段と低下、為替市場は総じてドル安、ユーロ・豪ドル・NZドル等が対ドルで一段高
〇NYダウは取引時間中の史上最高値更新、305.10ドル高で終了、ナスダックも180.92ポイント高と上昇
〇4/15に発表された米経済指標、総じて強い結果に
〇108.85以下での推移中は一段安警戒とし、108.50割れからは108.30から108.00試しとみる
〇108.85円超えからは、4/14夜高値109.09試しとみる

【概況】

ドル円は4月8日夜に109円割れを試したところから9日夜に109.95円までいったん戻していたが、14日午前に108.74円まで一段安となり、14日夜に109.09円を付けたところは戻り売りにつかまり15日夜には14日午前安値も割り込んで108.60円まで安値を切り下げている。16日早朝にかけても安値圏にとどまっており、反騰入りの兆しが見えない状況だ。
4月9日深夜に109.95円まで戻したところを起点として12日夜安値へ一段目、14日午前安値へ二段目、底割れから現在は三段目の下げに入っている印象だ。

【米長期債利回りが一段と低下、法人勢の米国債買い直し?】

為替市場は米長期債利回り動向に左右される展開が続いているが、米10年債利回りは4月15日に前日比0.05%低下の1.58%で終了、一時は1.52%台まで急低下した。

21時半に集中した米経済指標は総じて強い数字となり、米国景気回復感を強めるものとなって株高要因となり、NYダウは取引時間中の史上最高値を更新、前日比305.10ドル高で終値ベースでも史上最高値を更新した。また米長期債利回り低下を歓迎してハイテク株中心のナスダック総合指数も同180.92ポイント高と上昇した。株高でリスクオン優勢となれば安全資産の債券売りとなり米長期債利回りは今後の大量発行問題も踏まえて上昇してしかるべきところだったが、15日夕刻から低下に転じ、米経済指標発表後もさらに大幅低下した。この動きについては、3月末の年度末にかけて利益確定で米国債を大量売却していた本邦機関投資家が年度変わりにより買い直しの動きに入ったことで債券高・利回り低下を招いたとの報道もあった。米国がロシアに対して包括的な制裁措置を発動したことやロシアとウクライナとの緊張激化も安全資産としての米国債買い・利回り上昇の要因となったのではないかとの見方もされた。

米長期債利回りの低下により、為替市場は総じてドル安となり、ユーロドルは15日夜に1.20ドル手前へ上昇して3月31日以降の最高値を更新、豪ドル米ドルやNZドル米ドルは豪経済指標の強さやNZ中銀による政策金利現状維持等をきっかけに急伸した流れを継続して一段高となり、南アランドは対ドルで昨年4月以降の最高値を更新した。全般的なドル安に押され、米長期債利回り低下によるドル売り円買い圧力も加わってドル円は安値更新の流れを継続した状況だ。
ただし、米10年債利回りは16日未明からは反騰して1.52%台から1.57%台へ戻している。本邦勢の米長期債買い直しが一巡すれば、株高債券安・長期債利回り再上昇の可能性もあるところと注意したい。

【米経済指標は総じて強い】

4月15日に発表された米経済指標は総じて強かった。
米フィラデルフィア連銀の4月製造業景況指数は50.2で市場予想の42を上回り、3月の44.5から大幅上昇して50年ぶりの高水準に達した。
米ニューヨーク連銀の4月製造業景況指数は26.3で3月の17.4から上昇、市場予想の19.5を上回り2017年10月以来の高水準となった。
米労働省の週間新規失業保険申請は前週比19万3000件減の57万6000件で3週ぶりに改善、昨年3月のコロナショック以降で最小となり市場予想の70万件を下回った。
米商務省の3月小売売上高は前月比9.8%増で市場予想の5.9%増を大幅に上回り、自動車を除くと前月比8.4%増で市場予想の5.0%増を上回った。
米連銀の3月鉱工業生産指数は前月比1.4%上昇で市場予想の2.8%を下回ったが2か月振りのプラスとなり、前年同月比は1.0%上昇で2019年8月の0.3%以来のプラスだった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月9日夜高値を起点とした下落が続いているが、8日夜安値から既に5日を経過しているので、14日午前安値を直近のサイクルボトムとし、既に底割れにより新たな弱気サイクル入りしていると仮定する。新たな安値形成期は19日午前から21日午前にかけての間と想定する。強気転換は14日夜高値超えからとし、その際は直前安値をボトムとした強気サイクル入りとして16日夕から20日夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では13日夜の下落で遅行スパンが再び悪化、先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。14日夜高値を超えないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後の悪化からは下げ再開とし、強気転換は14日夜高値超えからとする。

60分足の相対力指数は14日午前安値からの一段安に際しては指数のボトムが切り上がっているが、50ポイントに届かない程度にとどまっているのでまだ一段安余地ありとし、30ポイント割れからは20ポイント前後を試す流れとみる。50ポイント台回復・維持へ進めばいったん戻しに入る可能性もあるが、その場合は60ポイント前後が戻り抵抗の目安と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.50円を下値支持線、14日夜高値109.09円を上値抵抗線とする。
(2)108.85円以下での推移中は一段安警戒とし、108.50円割れからは108円台序盤(108.30円から108.00円)試しとみる。108円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、108.85円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)108.85円超えからは14日夜高値試しとし、高値更新の場合はいったん戻しに入るとみて109.25円から109.50円にかけてのゾーンを試す上昇を想定する。また109円台を回復しての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
中勢としては、1月6日からの上昇幅に対する3分の1押し108.16円前後が当面の下値目途と思われるが、3分の1押しラインを割り込む場合は107.50円前後、次いで半値押しの106.76円前後へ下値目途が切り下がる可能性もあるとみる。109.50円超えからは3月31日以降の調整終了による上昇再開の可能性を優先する。

【当面の主な予定】

4/16(金)
日米首脳会談(ワシントン)
ユーロ圏財務相会合、非公式EU財務相理事会
11:00 (中) 1-3月期 GDP 前期比 (10−12月 2.6%、予想 1.5%)
11:00 (中) 1-3月期 GDP 前年同期比 (10−12月 6.5%、予想 19.0%)
11:00 (中) 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 33.8%、予想 28.0%)
11:00 (中) 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 35.1%、予想 17.2%)
18:00 (欧) 2月 貿易収支・季調済 (1月 242億ユーロ、予想 220億ユーロ)
18:00 (欧) 2月 貿易収支・季調前 (1月 63億ユーロ)
18:00 (欧) 3月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.3%、予想 1.3%)
18:00 (欧) 3月 消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 0.9%、予想 0.9%)
18:00 (英) カンリフ英中銀副総裁、ウッズ同副総裁、講演

21:30 (米) 3月 住宅着工件数・年率換算件数 (2月 142.1万件、予想 161.1万件)
21:30 (米) 3月 住宅着工件数 前月比 (2月 -10.3%、予想 13.4%)
21:30 (米) 3月 建設許可件数・年率換算件数 (2月 168.2万件、予想 175.0万件)
21:30 (米) 3月 建設許可件数 前月比 (2月 -10.8%、予想 1.7%)
23:00 (米) 4月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (3月 84.9、予想 89.6)


注:ポイント要約は編集部

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