本格調整局面とみるが、「ダマシ」の公算も(4/9夕)

9日の東京市場はドルが小高い。値幅そのものは狭いが「寄り付き安・大引け高」の様相で、見た目以上にドルが強い印象だった。

本格調整局面とみるが、「ダマシ」の公算も(4/9夕)

本格調整局面とみるが、「ダマシ」の公算も

〇本日のドル円、値幅は狭いが夕方にかけ109.45-50まで値を上げ、ドルが小高い展開
〇各国首脳の二国間会談や、核合意維持を目指したEUとイランの協議といった報道相次ぐ
〇ドル円、本格的な調整局面入りとみられるが、ダマシの可能性も
〇昨日安値109円の攻防が注視されるが、109円半ばをしっかり回復するなら110円に再接近の可能性も
〇本日、3月生産者物価指数発表予定
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.00-110.00

<< 東京市場の動き >>

9日の東京市場はドルが小高い。値幅そのものは狭いが「寄り付き安・大引け高」の様相で、見た目以上にドルが強い印象だった。

ドル/円は寄り付いた109.20円レベルを日中安値に、緩やかな右肩上がり。途中で一時上げ渋るも、夕方にかけて上げ幅を拡大させている。109.45-50円まで値を上げ、16時現在もほぼ同レベルで推移、欧米市場を迎えていた。
上記のようにドル/円はドル高・円安が優勢の値動きをたどるなか、ドルは対円以外ユーロやポンド、豪ドルなどでも堅調推移。それに対して、円は対ドルで弱含みとなるも、対ポンドや豪ドルなどでは買いが目立つ展開だった。実際、ポンド/円は149.70円台まで下落し、3月25日以来の安値を一時示現している。

一方、材料的に注視されていたものは、「二国間会談を含めた国際情勢」と「米中対立」について。
前者は、国際通貨基金(IMF)による各国財務相らのテレビ会議が実施され、途上国支援の議論が行われていた。また、それとは別に梶山経産相と米レモンド商務長官による電話会談で「日米半導体供給網の協力で一致」したほか、ドイツのメルケル首相とロシアのプーチン大統領と電話会談を行い「ウクライナ東部情勢めぐり議論」が行われたという。なお、そうしたなかEUは「イラン核合意の維持を目指し、9日にウィーンで次官級協議を再開させる」と発表している。動静には要注意だ。
対して後者は、米商務省が、中国のスーパーコンピューター関連7社・団体を輸出禁止対象に加えると発表したほか、ロイターが「米上院外交委、14日に超党派による『中国対抗法案』を審議へ」と報じていた。ちなみに、後者においては経済的な問題だけでなく、ウイグル族などイスラム系少数民族に対する扱いや香港での反政府デモの抑圧など様々な問題が俎上に上がる見込みだという。

<< 欧米市場の見通し >>

昨日筆者は、当稿で「ドル/円は下値正念場、109円半ばの攻防に注目」−−などとレポートしたが、そののちの欧米時間にドルは109円半ばを割り込み109円ちょうどまで下落。つまり、それにより3月31日に110.97円の目先高値を付け、いよいよ本格的な調整局面入りした可能性が高まったことになる。昨日下げ止まった109円は、年明け安値102.60円を起点とした上げ幅のフィボナッチ23.6%戻しに当たるテクニカルポイントで、まずはその攻防に注目。下回ると、若干遠いが同38.2%戻しの107.75-80円がターゲットか。
今週は週間を通してドル安、ポンド安が目に付く展開。ドル/円についても、基本的には前記したように、いよいよ本格的な調整局面入りした可能性が高い。ただ、そのドル/円、本日東京時間においては一本調子ともいえるドルの反発で、攻防の分岐点であった109円半ば近くまでアッサリ戻していることがやや気掛かり。ひょっとすると、下値トライは「ダマシ」となることも否定できないという一抹の不安も残る。米株や金利の動きをにらみつつだが、次なる動きをしっかりと見極めたいところだ。

テクニカルに見た場合、今年のドル/円はこれまで「目先高値から1週間程度の下押し、価格的には1.3円ほどの下落」にとどまってきたものが、今回は日柄、価格面ともそれを超えるものとなっている。これが「本格的な価格調整局面入り」を見込む大きな要因となっているのだが、ダマシの可能性も捨て切れない。もう少し状況を見極めたい。再下落に転じた場合、昨日安値109円の攻防が注視される反面、さらなる戻りを演じ109円半ばをしっかりと回復するようなら、今後110円に再接近しても不思議はないだろう。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「米露が冷戦への逆行懸念」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、3月の生産者物価指数という米経済指標が発表される見込み。昨日発表された週間ベースの新規失業保険申請件数が予想より悪化しただけに、本日の指標内容はいかなるものか市場の注目度は高い。また、それとは別にカプラン・ダラス連銀総裁によるバーチャル会合参加も実施される予定だ。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.00-110.00円。上方向は、今週半ば以降時間足など短期ベースでは直近だけで数回レジストされている109.90-00円が短期的な抵抗に。超えると110円半ばなどがターゲットとなる。
対するドル安・円高方向は、昨日のドル安値である109円をめぐる攻防に注目。下回れば108.30-40円レベルが意識されそうだ。

本格調整局面とみるが、「ダマシ」の公算も

ドル円日足


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