ドル円見通し 111円手前での高値圏持ち合い(21/4/2)

ドル円は3月31日昼高値で110.96円へ上昇してから31日深夜安値110.40円まで反落したが、その後はこの高安レンジ内での動きを続けていた。

ドル円見通し 111円手前での高値圏持ち合い(21/4/2)

ドル円見通し 111円手前での高値圏持ち合い

〇ドル円、3/31昼高値110.96、3/31深夜安値110.40の高安レンジ内での持ち合い
〇4/1発表の米経済指標はまちまち、ISM製造業景況指数はおよそ37年ぶりの高水準
〇米10年債利回りは前日比0.07%低下の1.67%、調整的な低下の範囲か
〇バイデン大統領、総額2兆ドル規模のインフラ投資計画を発表
〇本日、米国は祝日だが米雇用統計発表予定
〇110.40以上での推移中は上昇余地あり、110.96超えからは111.00から111.30を目指すとみる
〇110.40割れからは、110円前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は3月31日昼高値で110.96円へ上昇してから31日深夜安値110.40円まで反落したが、その後はこの高安レンジ内での動きを続けていた。4月1日は米長期債利回りが低下、為替市場は総じてドル安反応となったためにドル円もやや押され気味の展開となったが、クロス円全般の上昇による円安圧力と年初からの上昇基調継続期待が下支えとなり、ややレンジ縮小型の持ち合いにとどまった。

4月1日に発表された米経済指標はまちまち。米労働省が発表した新規失業保険申請は3月27日までの週間で前週比6万1000件増の71万9000件となり、2週ぶりに悪化して市場予想の68万件を上回った。失業保険受給者総数は3月20日までの週間で379万4000人となり前週比4万6000人減少したが、市場予想の377万5000人を上回った。米サプライ管理協会発表した3月のISM製造業景況指数は64.7となり2月から3.9ポイント上昇、市場予想の61.3を上回り1983年12月以来およそ37年ぶりの高水準となった。50ポイント超えは10か月連続。IHSマークイットが発表した3月の米製造業PMI確報値は59.1で速報値の59.0からわずかに上方修正され、前月の58.6から上昇した。

【米長期債利回り低下、クロス円全般が持ち直し】

米長期債利回りの上昇がドル円の中勢を支えてきたが、米10年債利回りは3月30日に1.77%台へ上昇して昨年3月来の最高水準に達した後は低下傾向に入り、1日は前日比0.07%低下の1.67%となった。米10年債利回りは年初から上昇が加速してきたが、2月25日に1.61%へ上昇してから1.38%へいったん低下、3月5日には1.62%へ上昇、1.47%まで低下したところから再び上昇して3月18日に1.75%、1.58%まで低下してから3月30日の1.77%へと上昇しており、数日の調整的な低下を入れながら一段高を繰り返してきている。4月1日の低下もこうした高値切り上げ後の調整的な低下の範囲にあると思われるが、米長期債利回り低下を見てユーロやポンドが上昇、午後にかけて一段安していた豪ドルが戻すなどドルストレートでは総じてドル安となったが、ドル円は先高感を優先して確りしたということだろう。

4月1日のNYダウが前日比171.66ドル高と上昇、ハイテク株中心のナスダック総合指数も233.24ポイント高と上昇した。ダウは3月29日に史上最高値を更新した後は上げ渋っているものの高値圏を維持しての推移であり、ナスダック総合指数も2日連続で200ポイントを超える上昇となり、3月5日からの持ち直しを継続している。
バイデン米大統領は31日に総額2兆ドル規模のインフラ投資計画を発表したが、既に決定済の1.9兆ドル規模のコロナ対策に加え、4月には社会福祉関連での1兆ドル規模の政策も示される予定となっており、景気回復を後押しして株高基調を維持しつつ、大量の国債発行により米長期債利回りの上昇傾向も継続してゆきやすい環境となっている。

4月2日は米国が祝日となるが米雇用統計の発表がある。非農業部門雇用者数に対する市場の事前予想は64.7万人増で2月の37.9万人増から大幅に上昇し、失業率は2月の6.2%から6.0%へ改善すると予想されている。先に発表されたADPによる3月全米雇用報告では非農業部門民間就業者数が前月比51万7000人増だった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月29日午後安値を押し目底として新たな強気サイクルに入ったとし、高値形成期を3月31日から4月2日夜にかけての間と想定した。3月31日昼高値の後は新たな高値更新へ進めずに持ち合いを続けているため、31日高値を上抜く場合は新たな強気サイクル入りとするのを妥当とみて31日昼高値を直近のサイクルトップとする。31日高値を超えないうちは2日の日中から5日にかけての間への下落余地ありとするが、29日午後安値からは既に3日半を経過しいているので反騰注意期とし、31日高値超えからは新たな強気サイクル入りとして4月5日の日中から7日にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では31日高値から持ち合い推移に入っているため遅行スパンは実線と交錯しつつ2日午前時点では実線を下回る悪化となっているが、先行スパン上限が下支えしている。持ち合い中のため持ち合い放れから次の方向性が見えると仮定して、31日深夜安値を割り込む場合は下放れに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、31日昼高値超えからは持ち合い上放れに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は持ち合いによる上げ渋りで40ポイント台へ低下しているので60ポイント超えへ戻せないうちは一段安余地ありとするが、60ポイントを超えてその後も50ポイント以上での推移に入る場合は上昇再開の可能性を優先して70ポイント超えを目指す流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月31日深夜110.40円を下値支持線、31日昼高値110.96円を上値抵抗線とする。
(2)110.40円以上での推移中は上昇余地ありとし、110.96円超えからは111円台序盤(111.00円から111.30円)を目指すとみる。111.30円以上は反落警戒とするが、110.40円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすい。また勢い付く場合は3月24日高値111.71円を目指すと見ている。
(3)110.40円割れからは110円前後への下落を想定するが、そこは押し目買いされやすいとみる。110.40円を割り込んだ後に110.75円を超えるところからは上昇再開とするが、110.40円を割り込んだ後も110.50円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすい見立てとなる。

【当面の主な予定】

4/2(金)
休場(聖金曜日) メキシコ、ニュージーランド、オーストラリア、シンガポール、独、スイス、仏、英、南ア、カナダ
休場(聖金曜日) 米国(為替通常取引、債券短縮取引、株式・商品休場)
休場(清明節) 香港

21:30 (米) 3月 非農業部門就業者数 前月比 (2月 37.9万人、予想 63.0万人)
21:30 (米) 3月 失業率 (2月 6.2%、予想 6.0%)
21:30 (米) 3月 平均時給 前月比 (2月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 3月 平均時給 前年同月比 (2月 5.3%、予想 4.5%)

4/5(月)
休場、中国、香港、NZ、豪、独、英、仏、スイス、南ア


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