来週の為替相場見通し:『FOMCと日銀金融政策決定会合がメインイベント』(3/13朝)

来週は、3/18午前3時に米FOMC(連邦公開市場委員会)、3/19に日銀金融政策決定会合が立て続けに予定されております。

来週の為替相場見通し:『FOMCと日銀金融政策決定会合がメインイベント』(3/13朝)

FOMCと日銀金融政策決定会合がメインイベント

〇今週のドル円週初は米長期金利上昇等に9か月ぶり高値109.25まで急伸
〇その後米長期金利が急低下に転じ108.33まで反落
〇週末にかけては米追加経済対策法案成立による米長期金利高騰で戻し109円台回復
〇ユーロドル独指標の不冴え、米長期金利上昇に週前半に1.1835まで下落
〇ECB理事会では債券購入ペース加速言及するも総枠等変わらず1.1990まで反発、1.1950近辺で越週
〇ドル円テクニカルの地合い強くファンダメンタルズもドル円の上昇材料多い
〇来週はFOMCのドットチャート、日銀政策決定会合の「点検」結果発表に注目
〇ドル円上昇がメインシナリオ110円を試す展開も
〇来週の予想レンジ(USDJPY):108.00ー110.50、(EURUSD):1.1800−1.2050

今週のレビュー(3/8−3/12)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初108.40で寄り付いた後、@米政府による追加経済対策期待や、A新型コロナワクチン普及に伴う米経済の回復期待、B米長期金利上昇に伴うドル高圧力(パウエルFRB議長による先週のタカ派寄りの発言が切っ掛け)、Cレモンド米商務長官による「強いドルは米国のためになる」との発言、D米主要株価指数の堅調推移(リスク選好の円売り)、E心理的節目109.00を突破したことに伴うロスカット(ストップBUY)が支援材料となり、翌3/9にかけて、約9ヵ月ぶり高値となる109.25まで急伸しました。

しかし、重要イベント(ブラックアウトルール化での米国債入札及び米消費者物価指数)を前にポジション調整の動きが強まると、F米3年債入札の好調な結果や、G上記Fを背景とした米長期金利の急低下、H米2月消費者物価コア指数(結果+1.3%、予想+1.4%、前回+1.4%)の伸び率鈍化、I日銀が来週の点検で国債金利がより柔軟に動きやすくなる方法を検討するとの一部報道が重石となり、週央にかけて、週間安値108.33まで急落しました。もっとも、Jバイデン米大統領による署名を経て新型コロナウイルス追加経済対策法案が成立すると、K米長期金利の高騰も相まってドル高が加速し、本稿執筆時点(日本時間3/12午前5時15分現在)では、109.05近辺まで持ち直す動きとなっております。

<ユーロドル相場>

今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1922で寄り付いた後、@ドイツ1月鉱工業生産(結果▲3.9%、予想▲3.7%)の冴えない結果(※前回分は上方修正)や、AECB理事会を控えたポジション調整(ユーロ高牽制の思惑)、B米長期金利上昇に伴う世界的なドル高圧力、Cレモンド米商務長官による「強いドルは米国のためになる」との発言、D節目1.1900下抜けに伴う短期筋のロスカットが重石となり、翌3/9にかけて、週間安値1.1835(昨年11/23以来、約3ヶ月半ぶり安値圏)まで急落しました。

しかし、200日移動平均線(1.1822)をバックに下げ渋ると、E短期筋のショートカバーや、Fロンドンフィキシングにかけてのドル売り圧力、G好調な米3年債入札、H米消費者物価コア指数の伸び率鈍化、I上記GHを背景とした米長期金利の急低下(ドル売り)、JECB理事会後の材料出尽くし感(ECBは声明文でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の購入ペースを4ー6月期に大きく加速させる方針を明記するも、総額や実施期間についての変更は見られず)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値1.1990まで反発しました。もっとも、心理的節目1.2000をバックに伸び悩むと、K米長期金利高騰に伴うドル高再燃が重石となり、本稿執筆時点(日本時間3/6午前5時15分現在)では、1.1950近辺まで反落する動きとなっております。

来週の見通し(3/15−3/19)

<ドル円相場>
ドル円は1/6に記録した安値102.58をボトムに反発に転じると、今週前半にかけて、約9ヵ月ぶり高値となる109.25まで急伸しました(その後反落するも週末にかけて再び上昇)。この間、一目均衡表転換線や基準線、90日移動平均線や200日移動平均線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転やダウ理論の上昇トレンドも成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となっております(但し、オシレータ系インジケータに過熱感が見られることから、一時的なポジション調整リスクには常に警戒が必要)。ファンダメンタルズ的に見ても、@バイデン政権による追加経済対策(バイデン氏の署名を経て法案成立→国債増発懸念)や、A米長期金利の上昇圧力、B上記Aに伴うリスク回避のドル買い圧力(米長期金利高騰→株式市場・商品市況の反落→リスク回避のドル買い再燃)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。

こうした中、来週は、3/18午前3時に米FOMC(連邦公開市場委員会)、3/19に日銀金融政策決定会合が立て続けに予定されております。前者は四半期に一度公表されるSEP(Summary of Economic Projections)のタイミングとなる為、FOMC参加者のFF金利見通しを示すドットチャートに注目が集まります。パウエル氏は低金利環境の長期化を示しているものの、一部の参加者が新型コロナワクチンの進捗を加味して利上げ時期を2022年や2023年に前倒す可能性があります。この場合、早期テーパリング観測の再燃を通じて、米長期金利高騰→ドル高の流れが強まる可能性が警戒されます。

一方、後者の日銀金融政策決定会合についても、「より効果的で持続的な金融緩和のための点検」結果が発表されるタイミングとなる為、市場の注目度はいつもより高いと言えそうです。長期金利の変動幅拡大観測を巡っては、黒田総裁と雨宮副総裁の発言に不一致が見られるなど、不透明感が極めて強い状態です。また、一部で報じられているETFの買い入れ方針弾力化(下限撤廃や買い入れ対象の見直しなど)についても、現時点で市場参加者の見方が割れるなど、コンセンサスが形成されていない状態です。この為、発表直後はドル円相場が乱高下する恐れがあり、ボラティリティの急拡大に注意が必要でしょう。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、アップサイドリスクが警戒されます。米長期金利や株式市場の動き、日米主要経済指標(米2月小売売上高や、米FOMC、日銀金融政策会合など)の結果を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(心理的節目110.00突破を試すシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(USDJPY):108.00ー110.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は今週火曜日(3/9)に一時1.1835(昨年11/23以来、約3ヶ月半ぶり安値圏)まで急落するも、200日移動平均線に下支えされる形で週央以降持ち直しました。しかし、心理的節目1.2000を超えられなかったこと、週末にかけて一目均衡表転換線を下抜けしたこと、強い売りシグナルを示唆する三役逆転が点灯していること等を考慮すれば、テクニカル的に見て地合いは弱いと判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても、@米長期金利高騰とそれに伴うドル高圧力、A欧州当局者による追加緩和観測(ECBは3/11の声明文でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の購入ペースを4ー6月期に大きく加速させる方針を明記)、B欧州ファンダメンタルズの先行き不透明感(ドイツの新型コロナウイルス第3波の可能性が浮上)など、ユーロドル相場の下落を意識させる材料が増えつつあります。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、ダウンサイドリスクが警戒されます。米長期金利の動向や新型コロナウイルス第3波に関するヘッドライン、3/16のドイツ3月ZEW景況感調査、3/17の米FOMCの結果、欧州当局者の発言(ポルトガル中銀センテノ総裁、デギンドスECB副総裁、シュナーベルECB専務理事)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(来週は1.1838近辺に控える200日移動平均線を試すシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1800−1.2050

注:ポイント要約は編集部

FOMCと日銀金融政策決定会合がメインイベント

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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