来週の為替相場見通し:『米長期金利主導の神経質な展開。リスクオフ再開に要注意』(3/6朝)

ドル円は週末にかけて、約9ヵ月ぶり高値108.64まで急伸しました。

来週の為替相場見通し:『米長期金利主導の神経質な展開。リスクオフ再開に要注意』(3/6朝)

米長期金利主導の神経質な展開。リスクオフ再開に要注意

〇今週のドル円米追加経済対策期待とワクチン復旧期待、米長期金利の上昇で週末にかけ108.64まで上昇
〇ユーロドルECB筋の債券利回り上昇許容発言に週央にかけ1.2113まで上昇
〇その後欧州指標の不冴えと米長期金利の上昇に3か月半ぶり安値1.1894まで急落
〇ドル円テクニカル、ファンダメンタルズとも地合い強く続伸リスク警戒される
〇来週の予想レンジ(USDJPY):107.00ー109.50(EURUSD):1.1775−1.2025

今週のレビュー(3/1−3/5)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初106.57で寄り付いた後、早々に週間安値106.36まで下落しました。しかし、@米政府による追加経済対策期待(米上院での審議・採決通過期待)や、A新型コロナワクチンの普及期待(新型コロナウイルス収束→米経済の早期回復への連想)、B米経済指標の良好な結果(米2月ISM製造業景況指数や米2月サービス業PMI改定値、米新規失業保険申請件数や米1月製造業受注など)、Cリッチモンド連銀バーキン総裁による「国債利回りの上昇について然程気にしていない」との発言、

DパウエルFRB議長によるタカ派寄りの発言(※WSJが主催する会合で「一過性のインフレに対して私たちは慌てない」と発言。市場では最近の米長期金利上昇に強い懸念を表し、ツイストオペ等の可能性を示唆するのではないかとの思惑がありましたが、そうした言及が見られなかった為、失望感から米長期金利急騰→米主要株価指数急落→リスク回避のドル買いへ波及)、Eテクニカル的な地合いの強さ、F米2月雇用統計の力強い結果が材料視されると、週末にかけて、昨年6/8以来、約9ヵ月ぶり高値となる108.64まで急伸しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/6午前6時00分現在)では、108.30近辺で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.2079で寄り付いた後、@欧州委員会による「新型コロナウイルスの迅速承認に向けた方策を加盟国と共に検討する」との発表や、AECB関係筋による「債券利回りの抑制に大規模な行動の必要性はない」との発言を材料に、週央にかけて、週間高値1.2113まで上昇しました。しかし、BデギンドスECB副総裁による「パンデミック緊急購入プログラムの購入ペースはいつでも拡大できる」とのハト派的な発言(ECBによる追加緩和観測)や、Cユーロ圏1月小売売上高(結果▲5.9%、予想▲1.4%、前回1.8%)の冴えない結果、DパウエルFRB議長によるタカ派寄りの発言(米長期金利急騰→米主要株価指数下落→ドル高)、E心理的節目1.2000を割り込んだことに伴う短期筋のロスカットが重石となると、週末にかけて、昨年11/26以来、約3ヵ月半ぶり安値1.1894まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/6午前6時00分現在)では、1.1915近辺で推移しております。

来週の見通し(3/8−3/12)

<ドル円相場>
ドル円は週末にかけて、約9ヵ月ぶり高値108.64まで急伸しました。強い買いシグナルを示唆する三役好転やバンドウォーク、21日線と200日線のゴールデンクロスが実現するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となっております。(ダウ理論で見ても、1/6安値102.58→1/11高値104.40→1/21安値103.32→2/5高値105.78→2/10安値104.41→2/17高値106.22→2/23安値104.92→3/5高値108.64といった形で高値と安値を同時に切り上げる典型的な上昇トレンドを形成中)。ファンダメンタルズ的に見ても、@バイデン政権による追加経済対策期待(3/14までに大統領署名による成立を企図)や、A新型コロナウイルスの収束期待、B米長期金利の急上昇、Cリスク回避のドル買い圧力(米長期金利高騰→株式市場・商品市況の反落→リスク回避のドル買い再燃)、D次回日銀金融政策決定会合(政策点検)でのマイナス金利深堀余地・明確化の思惑など、ドル円相場の上昇を意識させる材料が増えつつあります。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、続伸リスクが警戒されます。米長期金利や米主要株価指数の動き、米経済指標(米2月消費者物価指数や米2月生産者物価指数、米3月ミシガン大消費者信頼感指数)及び米国債入札の結果(来週は米当局者の発言が禁じられるブラックアウト期間中に3年債、10年債、30年債入札が予定されており、結果次第で大荒れとなる可能性あり=米当局者が米長期金利高騰に対して口先介入できない)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(但し、米長期金利上昇や、中国による引き締め姿勢の明確化を受けて、株式市場がグローバルに崩れる場合には、リスク回避のドル買い以上に、リスク回避の円買いが強まる可能性がある点に留意が必要)。

来週の予想レンジ(USDJPY):107.00ー109.50

注:ポイント要約は編集部

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は2/25に記録した約1ヶ月半ぶり高値1.2243をトップに反落に転じると、今週末にかけて、約3ヶ月半ぶり安値となる1.1894まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや90日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となっております(ダウ理論的にも高値と安値を同時に切り下げる下落トレンド入りを示唆)。次のターゲットとして200日移動平均線が走る1.1820近辺が視野に入ります。ファンダメンタルズ的に見ても、@米長期金利高騰とそれに伴うドル高圧力、A欧州当局者による相次ぐユーロ高牽制発言、BECBによる追加緩和観測、C欧州ファンダメンタルズの冴えない結果(今週はドイツ1月小売売上高、ユーロ圏1月小売売上高が共に市場予想を大幅に下回る結果)など、ユーロドル相場の続落を意識させる材料が増えつつあります。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、ダウンサイドリスクが警戒されます。欧米の長期金利及び主要株価指数の動向や、3/11に予定されているECB理事会及びラガルド総裁の記者会見(※利回り上昇への対応方針を巡って欧州当局者の見解が割れている状況。利回り上昇が正当化されないと判断された場合には、パンデミック緊急購入プログラムの拡大を通じて利回りの抑制が図られる可能性あり。また、3/1にフランス中銀ビルロワドガロー総裁が述べた通り、選択肢の一つとしてマイナス金利の深堀が含まれている点にも留意が必要)を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1775−1.2025

米長期金利主導の神経質な展開。リスクオフ再開に要注意

ドル円日足

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