ドル円見通し 年初からの上昇は2か月目、80週サイクルレベルの上昇期(週報3月第1週)

クロス円が総崩れしての円高以上にドル全面高が勝り、米長期債利回り上昇でのドル買い円売り圧力が重なる状況となっている。

ドル円見通し 年初からの上昇は2か月目、80週サイクルレベルの上昇期(週報3月第1週)

ドル円見通し 年初からの上昇は2か月目、80週サイクルレベルの上昇期

〇ドル円先週末深夜に106.69まで上昇、能動的上昇期に入ったか
〇米長期金利上昇が一線を越え株式市場がリスク回避へ急旋回、ドル円上昇が加速
〇株価下落により週末の30年債利回りは低下、今週は長期金利上昇場面一巡か否かの見極め必要
〇2/26安値105.84を上回るうちは高値追及へ進みやすい当面の上値めどは107円
〇105.84割れからは105円台中盤をためすが、その水準では押し目買いも入りやすい

【概況】

ドル円は2月26日深夜に106.69円へ上昇、1月6日安値以降の高値を更新した。1月6日安値102.57円からの上昇幅は4.12円へ拡大し、昨年5月6日から6月5日への1か月の上昇幅3.86円を超えて最大となった。また昨年3月24日の戻り高値以降の下落期におけるリバウンドとしても6月5日への1か月を大幅に超えてほぼ2か月経過となった。既に昨年3月24日高値と6月5日の戻り高値を結んだ下降トレンドの抵抗線を突破しており、下げ相場途中のリバウンドのレベルを超えてより能動的な上昇期に入っている印象だ。

【ドル全面高、米長期債利回り上昇によりクロス円で円高、ドル円は上昇の構図】

ドル円の上昇は@ドルの全面高、A円の独歩的な全面安、Bドルストレートではドル安でもクロス円での円安が勝るケース、C日米長期金利差拡大によるドル買い円売りでの上昇等とケース分けされる。現状は2月25日まではドルストレートにおけるドル安の一方でクロス円の全面高からドル円の円安感が強まり、かつ米長期債利回り上昇でドル買い円売りの圧力がかかるという組み合わせだったが、26日はクロス円が総崩れしての円高以上にドル全面高が勝り、米長期債利回り上昇でのドル買い円売り圧力が重なる状況となっている。

米長期債利回りとドル円の動向を米30年債利回りとの比較で見れば、米30年債利回りが昨年8月4日の1.19%を底として上昇に入ったものの今年1月6日までのドル円は下落基調で推移してきた。米30年債は昨年3月コロナショック時に1.03%まで下げてから3月19日に1.78%までリバウンドして以降、8月からの上昇でも1.78%を超えることはなかったのだが、年明けから1.78%を超えて一段高状態に入った。
為替市場としては年末までは米30年債利回りの上昇を気にしつつ、短期的に利回り急上昇がみられる場面ではドル高に反応してもトレンドとしてはドル安基調の範囲にあった。しかし、年明けからは米30年債利回り水準が一線を超えたために無視できなくなり、株式市場も平均的なパフォーマンスを超える長期債利回りの高水準到達によるプレッシャーを意識し、半ばバブル化して楽観を決め込んでいた状況からリスク回避へと急旋回する事態に見舞われ、NYダウを先導役としてリスクオンの大上昇を享受してきたユーロ、ポンド、豪ドル、新興国通貨が総崩れとなり、ドル円の上昇も加速したといえるのではないか。

2月26日の米30年債利回りは早朝に2.34%台へ急伸した後は2.11%台まで急低下した。NYダウが2日で千ドルを超える大幅続落となったことで株売り・債券買い戻しの動きが出たためだ。これで米長期債利回り上昇場面が一巡したのかどうか、仮に米長期債利回りが低下したとしてNYダウの反落や主要通貨の下落が継続するのか、3月第1週の展開と特に週末の米雇用統計後の反応で見定める必要があるが、米長期債利回り上昇基調が多少の調整安を入れながらも続くうちはドル円も上昇基調を継続しやすくなるのではないかと思われる。

【80週サイクルの底打ち】

2011年10月に75.57円の最安値を付けて以降、ドル円の週足における底打ちサイクルは概ね40週前後の周期と80週前後の周期により構成されてきた。40週サイクルが2セットで80週サイクルを作ってきたが、2011年10月31日底以降は85週目、84週目、76週目で底打ちしており、2016年6月24日底から93週目の2018年3月26日底、さらに75週目の2019年8月26日底で前回の底を付けている。そこから今年1月6日安値までが72週目であり、やや短いものの80週サイクルの底打ち条件を満たしている。
40週サイクルで見れば、昨年はコロナショックによる急変動があったため、3月9日に急落時の安値を付けたがそこから今年1月6日安値までが44週であり、昨年3月24日の戻り天井直後に付けた5月6日安値(2019年8月2日底から37週目)からは36週目であり、40週サイクルとしての底打ちとしての条件も満たしている。また40週及び80週サイクルの騰落リズムと同調するRCI(順位相関指数)の26週線も前回の2019年8月26日底からの反騰開始時に近い角度で顕著に反騰してきている。

80週サイクルにおける前回の上昇期は2019年8月26日底から2020年2月20日天井まで6か月、2018年3月26日底から同年10月4日天井までは6か月強、2016年6月24日底から同年12月15日天井までが6か月であり、今回もそれらと同様に1月6日安値を起点として6か月前後規模の上昇まで発展する可能性があると考える。
2016年12月天井以降は、2018年10月4日天井と2020年2月20日天井がほぼ1直線であり、2018年3月26日底と2020年3月9日底を結ぶラインもほぼ1直線であり、両線により下降チャンネルが形成されている。下降チャンネルの現在の中心値が105円前後であり、上限ラインは110円前後に来ている。このため、多少の反動安を入れつつも底上げをして戻り高値の切り上げを続ける場合、1月6日安値を起点とした上昇波動の上値目途は110円前後と推測される。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

1月6日底以降、日足チャートでは26日移動平均が下値支持線となっており、1月21日安値では同線をザラバで割り込んでから切り返し、2月10日及び2月23日への下落は同線に迫ったところで手前から切り返している。
2月5日高値から2月20日へ3日連続陰線で下落し4日目の2月10日から陽線連続で切り返して2月17日高値を付け、そこからまた3日連続陰線で失速したが2月23日からは4日連続陽線で切り返している。3日連続陰線=三羽烏が入ると下落再開感が強まるのだが、現状は3日から4日連続の陰線が入っても切り返しており、連続陰線で下落しても直前の安値から底上げをして切り返しに入れば上昇トレンドの継続となっているところに特徴がある。ただ、この陰線連続と陽線連続による騰落も、陽線連続が勝って勢いつけば右肩上がりの上昇チャンネルの範囲を超えて上昇基調が加速期に入ることもあると注意する。

(1)2月26日の反落時には105.84円まで下げたものの切り返して一段高しているので、当面は105.84円を下値支持線とし、上回るうちは高値追及へ進みやすいとみる。当面の上値目途は107.00円到達への挑戦、107円台を固めれば108円台、さらに110円を目指す流れへ向かいやすいとみる。
(2)世界連鎖株安とドル全面高の流れがいったん収まってドル円も下げる場合、105.84円割れからは105円台中盤(105.65円から105.30円)にかけてのゾーンを試すとみるが、そこは押し目買いされて次の上昇期の起点になりやすいのではないかと考える。
(3)株安ドル高・米長期債利回り上昇継続ないしは高止まりの場合はドル円も上昇基調を継続し、株高ドル安に反転しても米長期債利回り上昇ないし高止まりが続くならクロス円の円安が勝ってドル円も上昇基調を維持してゆくのではないかとみる。(了)<2月28日14:40執筆>

【当面の主な予定】

3/1(月)
休場 韓国(三・一独立運動記念日)、休場 台湾(平和記念日)
06:30 (豪) 2月 AiG製造業PMI (1月 55.3、予想 54.0)
06:30 (豪) 2月 マークイット製造業PMI改定値 (速報 56.6、予想 56.6)
09:30 (豪) 10-12月期 企業営業利益 前期比 (7-9月 3.2%、予想 -3.6%)
09:30 (豪) 2月 求人広告件数 前月比 (1月 2.3%)
09:30 (豪) 1月 持家住宅ローン件数 前月比 (12月 8.7%。予想 3.5%)
10:45 (中) 2月 財新製造業PMI (1月 51.5、予想 51.5)
17:55 (独) 2月 製造業PMI改定値 (速報 60.6)
18:00 (欧) 2月 製造業PMI改定値 (速報 57.7)
18:30 (英) 2月 製造業PMI改定値 (速報 54.9)

22:00 (独) 2月 消費者物価指数速報値 前月比 (1月 0.8%)
22:00 (独) 2月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (1月 1.0%)
23:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
23:45 (米) 2月 製造業PMI改定値 (速報 58.5)
24:00 (米) 2月 ISM製造業景況指数 (1月 58.7、予想 58.8)
24:00 (米) 1月 建設支出 前月比 (12月 1.0%、予想 0.8%)
24:20 (欧) デギンドスECB副総裁ら討論会
28:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、メスター・クリーブランド連銀総裁、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会参加

3/2(火)
08:30 (日) 1月 失業率 (12月 2.9%)
08:30 (日) 1月 有効求人倍率 (12月 1.06)
08:50 (日) 10-12月期 ソフトウェア含む全産業設備投資額 前年同期比 (7-9月 -10.6%)
08:50 (日) 2月 マネタリーベース 前年同月比 (1月 18.9%)
09:30 (豪) 10-12月期 経常収支 (7-9月 100億豪ドル)
09:30 (豪) 1月 住宅建設許可件数 前月比 (12月 10.9%、予想 -3.0%)
12:30 (豪) 豪準備銀行(RBA 豪中銀)、政策金利 (現行 0.10%)
16:00 (英) 2月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (1月 -0.3%、予想 -0.4%)
17:55 (独) 2月 失業者数 前月比 (1月 -4.10万人)
17:55 (独) 2月 失業率 (1月 6.0%)

19:00 (欧) 2月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (1月 0.9%)
19:00 (欧) 2月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (1月 1.4%)
22:30 (加) 10-12月期 GDP 前期比年率 (7-9月 40.5%)
27:00 (米) ブレイナードFRB理事、外交問題評議会参加
28:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演

3/3(水)
06:45 (NZ) 1月 住宅建設許可件数 前月比 (12月 4.9%)
07:00 (豪) 2月 マークイット サービス業PMI改定値 (速報 54.1、予想 54.1)
09:30 (豪) 10-12月期 GDP 前期比 (7-9月 3.3%)
09:30 (豪) 10-12月期 GDP 前年同期比 (7-9月 -3.8%)
09:30 (豪) 10-12月期 設備投資 前年同期比 (7-9月 -0.1%)
10:30 (日) 片岡日銀審議委員、群馬県金融経済懇談会挨拶
10:45 (中) 2月 財新サービス業PMI (1月 52.0、予想 51.4)
14:30 (日) 片岡日銀審議委員、記者会見

17:55 (独) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 45.9)
18:00 (欧) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 44.7)
18:30 (英) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 49.7)
19:00 (欧) 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 0.8%)
19:00 (欧) 1月 生産者物価指数 前年同月比 (12月 -1.1%)
22:15 (米) 2月 ADP・非農業部門就業者数 前月比 (1月 17.4万人、予想 16.5万人)
23:45 (米) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 58.9)
24:00 (米) 2月 ISM非製造業景況指数 (1月 58.7、予想 58.7)
24:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
25:00 (英) テンレイロ英中銀委員、マイナス金利ついて講演
27:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

3/4(木)
OPECプラス閣僚級会合
中国全国政治協商会議(政協)第13期第4回会議開幕
09:30 (豪) 1月 貿易収支 (12月 67.85億豪ドル)
09:30 (豪) 1月 輸出 前月比 (12月 3.0%)
09:30 (豪) 1月 輸入 前月比 (12月 -2.0%)
09:30 (豪) 1月 小売売上高 確報値 前月比(速報 0.6%)
14:00 (日) 2月 消費者態度指数・一般世帯 (1月 29.6)
19:00 (欧) 1月 失業率 (12月 8.3%)
19:00 (欧) 1月 小売売上高 前月比 (12月 2.0%)
19:00 (欧) 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 0.6%)
22:30 (米) 10-12月期 非農業部門労働生産性・改定値 前期比 (速報 -4.8%、予想 -4.8%)
22:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 73.0万件)
22:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 441.9万人)
24:00 (米) 1月 製造業新規受注 前月比 (12月 1.1%、予想 1.0%)
26:05 (米) パウエルFRB議長、討論会参加

3/5(金)
中国全人代第13期第4回会議開幕
06:30 (豪) 2月 AiGサービス業PMI (1月 54.3、予想 54.0)
16:00 (独) 1月 製造業新規受注 前月比 (12月 -1.9%)
16:00 (独) 1月 製造業新規受注 前年同月比 (12月 6.4%)
22:30 (米) 1月 貿易収支 (12月 -666億ドル、予想 -671億ドル)
22:30 (米) 2月 雇用統計・非農業部門就業者数 前月比 (1月 4.9万人、予想 14.3万人)
22:30 (米) 2月 雇用統計・失業率 (1月 6.3%、予想 6.4%)
22:30 (米) 2月 雇用統計・平均時給 前月比 (1月 0.2%、予想 0.2%)
22:30 (米) 2月 雇用統計・平均時給 前年同月比 (1月 5.4%、予想 5.3%)
23:00 (英) ハスケル英中銀委員、パネル討論会参加
29:00 (米) 1月 消費者信用残高 前月比 (12月 97.3億ドル、予想 135.0億ドル)

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