来週の為替相場見通し:『米長期金利高騰でリスクオフ再燃。金融市場の不安定化に要警戒』(2/27朝)

ドル円は週末にかけて、約7カ月ぶり高値となる106.69まで急伸しました。

来週の為替相場見通し:『米長期金利高騰でリスクオフ再燃。金融市場の不安定化に要警戒』(2/27朝)

米長期金利高騰でリスクオフ再燃。金融市場の不安定化に要警戒

〇今週のドル円週初104.92まで下落するも週末にかけ昨年8/28以来の106.69まで急伸
〇追加経済対策期待、米指標の好調、米金利急騰、株価の大幅下落によるリスク回避のドル買いが支援
〇パウエルFRB議長の議会証言はハト派発言目立つが、テーパリング観測払拭できず
〇ユーロドル週後半にかけ1.2243まで急伸後米長期金利高騰で週末にかけ1.20台半ばまで下落
〇ドル円テクニカル、ファンダメンタルズともアップサイドリスクが意識される
〇ユーロドル一目均衡表の「雲」上限突破が騙しに終わり上値の重さ確認
〇来週の予想レンジ (USDJPY):105.50ー107.50、(EURUSD):1.1950−1.2150

今週のレビュー(2/22−2/26)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初105.42で寄り付いた後、翌2/23に、週間安値104.92まで下落しました。しかし、一目均衡表基準線をバックに下げ渋ると、@バイデン政権による追加経済対策期待(国債増発懸念)や、A金融緩和の縮小観測、B7年債入札の冴えない結果、C米経済指標の良好な結果(米1月新築住宅販売件数、米1月耐久財受注、米新規失業保険申請件数、米2月ミシガン大学消費者信頼感指数など)、D米長期金利の急上昇(米10年債利回りは約1年ぶり高水準となる1.61%へ急騰)、E対主要通貨で広がるドル買い圧力(株安→リスク回避のドル買い)が支援材料となり、週末にかけて、約7ヵ月ぶり高値となる106.69まで急伸しました(昨年8/28以来の高値圏)。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(2/27日本時間6時00分現在)では、106.56近辺で推移しております。

尚、注目されたパウエルFRB議長・議会証言では、「インフレは一時的に上昇する」「見通し改善に伴う資産価格の上昇は健全な兆候」「政策変更の検討ステージに上がるまでにはしばらく時間がかかる」「インフレ目標達成には3年以上かかる可能性がある」等のハト派的なメッセージが繰り返されました。また、クラリダFRB副議長や、カンザスシティ連銀ジョージ総裁からも「テーパリング議論は時期尚早」との意見が述べられました。しかし、市場で燻るテーパリング観測を抑制することはできず(米長期金利の高騰を抑制できず)、市場のセンチメントは一気にリスクオフに傾く結果となっております(米10年債利回りは一時1.61%まで高騰するなど、1/4に記録した0.91%から既に70bp上昇済み)。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.2117で寄り付いた後、@ドイツ2月IFO企業景況感指数の力強い結果や、AパウエルFRB議長によるハト派的な発言(テーパリングは時期尚早)、Bドイツ3月GFK消費者信頼感調査の予想比改善、Cユーロ圏2月経済信頼感指数の良好な結果を材料に、週後半にかけて、約1ヶ月半ぶり高値となる1.2243まで急伸しました(1/8以来の高値圏)。しかし、D米長期金利の高騰が上値を抑えると、E欧米株の下落を通じたリスク回避のドル買いや、FECB当局者による相次ぐハト派的な発言(ラガルドECB総裁やシュナーベルECB専務理事による「ECBは長期的な名目国債利回りの動向に注視している」など)も加わり、本稿執筆時点(2/27日本時間6時00分現在)では、週間安値となる1.2062近辺まで値を崩す展開となっております。

来週の見通し(3/1−3/5)

<ドル円相場>
ドル円は週末にかけて、約7カ月ぶり高値となる106.69まで急伸しました。この間、市場参加者に注目される200日移動平均線や一目均衡表転換線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転やバンドウォークも点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となっております。(ダウ理論で見ても、1/6安値102.58→1/11高値104.40→1/21安値103.32→2/5高値105.78→2/10安値104.41→2/17高値106.22→2/23安値104.92→2/26高値106.69といった形で高値と安値を同時に切り上げる典型的な上昇トレンド)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@バイデン政権による追加経済対策期待(国債増発懸念→米国債格下げへの警戒感)や、A根強いテーパリング観測(FRB当局者は再三にわたり早期テーパリングの可能性を否定するも、マーケットの織り込みを抑制できず)、B上記@Aを背景とした米長期金利の高騰とそれに伴うリスク回避のドル買い圧力(米長期金利高騰→株式市場や商品市況の急落→リスク回避のドル買い)、C次回日銀金融政策決定会合(政策点検)でマイナス金利の深堀余地が明確化される可能性が高まっていること等、ドル円相場の上昇を意識させる材料が増えつつあります。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、アップサイドリスクが警戒されます。米長期金利の動向や、米当局者の発言、米経済指標の結果(3/1の米2月ISM製造業景況指数、3/3の米2月ADP雇用統計及び米2月ISM非製造業景況指数、3/5の米2月雇用統計及び中国の全人代開幕)、本邦の緊急事態宣言解除を巡る続報、米政府による追加経済対策の行方(上院での協議)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(但し、リスク回避局面では、ドル高と円高が並走する傾向にあるため、来週はドル円相場の上昇速度が幾分和らぐと予想いたします)。

来週の予想レンジ(USDJPY):105.50ー107.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は週末にかけて値を崩し、約1週間ぶり安値となる1.2062まで急落しました(2/25に記録した週間高値1.2243からわずか1日で181ポイントの下落幅)。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドを下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となっております(2/25の一目均衡表雲上限突破が騙しとなったことで上値の重さを再確認。目先は、1.2050近辺に位置する一目均衡表雲下限割れを試すシナリオを想定)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米長期金利の高騰とそれに伴うリスク回避のドル買い圧力(米長期金利高騰→株式市場や商品市況の急落→リスク回避のドル買い)や、A欧州当局者による相次ぐユーロ高牽制発言、B次回ECB理事会でのマイナス金利深堀の可能性、C新型コロナ復興基金を巡る先行き不透明感など、ユーロドルの下落リスクを意識させる材料が増えつつあります。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、ダウンサイドリスクが警戒されます。米長期金利の動向(米長期金利上昇→欧米株下落→リスク回避のドル買い・円買い→ユーロ下落)や、欧州経済指標の結果(3/2のユーロ圏2月消費者物価指数、3/4のユーロ圏1月生産者物価指数など)、欧州当局者の発言(オランダ中銀クノット総裁や、ポルトガル中銀センテノ総裁など)を睨みながらも、当方では、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(心理的節目1.2000割れを試すシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1950−1.2150

米長期金利高騰でリスクオフ再燃。金融市場の不安定化に要警戒

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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