トルコリラ円見通し ドル全面高で対ドルでリラ急落、円安では支えきれず(21/2/26)

トルコリラ円は2月26日未明安値で14.24円まで急落した。

トルコリラ円見通し ドル全面高で対ドルでリラ急落、円安では支えきれず(21/2/26)

トルコリラ円見通し ドル全面高で対ドルでリラ急落、円安では支えきれず

〇トルコリラ円、2/26未明14.24まで急落、2/25深夜からのドル全面高によるリラ急落で一段安
〇トルコリラ対ドル、2/26未明7.43リラまで急落
〇リスク選好的なドル安基調から一転、ユーロ・ポンド・豪ドル・新興国通貨の全面安の様相に
〇2/16高値で戻り一巡となり、深い調整期に入る可能性警戒すべきか
〇来週発表のトルコGDP・消費者物価指数、リラ売り加速への可能性も注目
〇14.60以下での推移中は一段安警戒、14.30割れからは下げ再開とみて14.00試しへ向かうとみる
○14.55から14.60手前は戻り売りにつかまりやすく、14.60超えからは14.70前後への上昇を想定

【概況】

トルコリラ円は2月26日未明安値で14.24円まで急落した。売り一巡後の反発で14.40円台まで戻したが26日午前序盤には14.40円を再び割り込んでいる。為替市場が25日夜までのリスク選好的なドル安基調から一転してユーロやポンド、豪ドル、新興国通貨の全面安の様相へと転じたことで対ドルのでトルコリラが26日未明に7.43リラまで急落したため、ドル円が106円台前半へ一段高したことでは支えにならずトルコリラ円も急落商状に陥った。
トルコリラ円は2月16日に15.26円まで上昇して昨年11月6日以降の高値を更新したが、2月18日のトルコ中銀金融政策発表直後に同値まで戻したところでダブルトップ形成となって行き詰まり、その後は当面の買い材料出尽くし感から軟調な推移に入って22日深夜に15円を割り込み、24日午前に14.80円割れ、24日深夜に14.60円まで安値を切り下げてから25日夜にかけては下げ渋っていたものの深夜からのドル全面高によるリラ急落で一段安となった。

【リラ高材料消化での上昇一巡感に加えてドル全面高に圧される】

ユーロドルは2月25日夜まで上昇していたところから急落、ポンド/ドルは2月24日に一段高したところから上げ渋っていたものの25日深夜から急落、豪ドル米ドルも昨年3月来最高値を25日夕刻に更新していたが深夜に急落した。一方でドル円は2月5日高値を超えて一段高に入ったが、クロス円全般はドルストレートでのドル急伸に押されて全面安の様相となった。
NYダウは前日比559.85ドル安、ナスダック総合指数も478.54ポイント安と大幅下落。米7年債入札が不調と伝えられて米10年債利回りは一時1.60%へ急上昇した後も1.53%と高止まりした。また米シカゴ・オプション取引所のVIX指数=恐怖指数は前日比35%上昇の28.89へ急上昇した。VIX指数の急上昇とNYダウの大幅下落及び主要通貨の下落が重なったのは昨年6月高値からの反落、昨年9月から10月末にかけての下落時にみられる。

トルコリラ円は為替市場全般の流れと異なって独自の通貨危機的な下落により11月6日安値12.03円まで史上最安値を更新してきたため、主要通貨における昨年の6月からの反落や9月から10月末への下落時との比較は適当ではないかもしれないが、トルコリラ円も昨年5月7日から6月2日にかけていったん大きなリバウンドを入れたところでドル全面高による主要通貨の下落が発生したために戻り一巡から下げ再開のきっかけとして11月にかけての下落期に入っている。9月から10月末にかけての主要通貨下落時もトルコリラ円はほぼ一方調子での史上最安値更新を続けている。このため、今回の主要通貨下落が一時的なものにとどまらない場合はトルコリラ円も対ドルでのトルコリラも下落感を強め、2月16日高値で戻り一巡となって深い調整期に入る可能性を警戒すべきと思われる。

【来週のトルコGDP、消費者物価に注目】

2月25日夕刻に発表されたトルコの2月経済信頼感指数は95.8となり1月の96.2から低下して市場予想の97を下回った。前年同月比では2.6%減となり前年同月比でのマイナスは昨年4月にマイナス40.9%へ急降下して以降徐々に緩和しているものの継続している。

トルコリラ円見通し ドル全面高で対ドルでリラ急落、円安では支えきれず

3月1日には10-12月期のGDP発表がある。市場の事前予想では前期比が2.2%増で7-9月期の15.6%から大幅に鈍化し、前年同期比では7.5%増で7-9月期の6.7%からは回復する見込みとなっている。トルコ景気の回復感を維持できるか減速感が強まるのか注目される。
3月3日にはトルコの2月消費者物価指数の発表がある。2月の前年同月比は14.97%へ上昇したが、直近の市場予想では15.5%への上昇が見込まれる。トルコ中銀の政策金利は昨年10月の10.25%から11月に15%、12月に17%へと大幅に引き上げられたが、消費者物価の上昇も続くようだと中銀に対する追加利上げ催促でリラ売りが進む可能性もあるところと注目される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月16日夕高値と18日夜高値によりダブルトップを形成して下落期に入ったが、17日夕安値から3日目となる22日深夜安値からいったん戻してから一段安したために2月24日午前時点では直近のサイクルボトムを22日深夜安値としてすでに底割れから新たな下落期に入っているとし、安値形成期を25日夜から3月1日夜にかけての間と想定した。26日未明へ一段安してから戻しているのでボトムを付けた可能性もあるが、14.60円を超えないうちは一段安余地ありとし、14.60円超えからはいったん戻しに入るとみて26日午後から3月2日午後にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では22日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパンが好転するところからは戻り高値試し優先とするが、先行スパンを超えないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後の悪化からは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は26日未明への一段安で20ポイントまで低下、その後も50ポイント以下での推移が続いている。50ポイント以下での推移中は一段安余地ありとするが、相場が26日未明安値を割り込む一段安となる際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られれば反騰入りの可能性ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、14.30円を下値支持線、14.60円を上値抵抗線とする。
(2)14.60円以下での推移中は一段安警戒とし、14.30円割れからは下げ再開とみて14.00円試しへ向かうとみる。14円以下は反騰注意とするが14.40円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)14.55円から14.60円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、14.60円超えからは反騰入りとみて14.70円前後への上昇を想定する。また14.55円以上での推移なら週明けも戻りを試しやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月26日
 16:00 1月貿易収支 (12月 -45.3億ドル、予想 -47.0億ドル)
3月1日
 16:00 10-12月期GDP前期比 (7-9月期 15.6%、予想 2.2%)
 16:00 10-12月期GDP前年同期比 (7-9月期 6.7%、予想 7.5%)
 16:00 2月イスタンブール製造業PMI (1月 54.4、予想 53.6)
3月3日
 16:00 2月消費者物価 前年同月比 (1月 14.97%、予想 15.5%)
 16:00 2月消費者物価 前月比 (1月 1.68%、予想 0.8%)
 16:00 2月生産者物価 前年同月比 (1月 26.16%、予想 27.1%)
 16:00 2月消費者物価 前月比 (1月 2.66%、予想 1.2%)


注:ポイント要約は編集部

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