ドル円見通し 米長期債利回り高止まりでもドル安再開感に圧される(21/2/19)

18日夜には105.58円まで安値を切り下げた。深夜に105.87円へ小反発したものの長続きせずに105.60円台へ再び失速している。

ドル円見通し 米長期債利回り高止まりでもドル安再開感に圧される(21/2/19)

ドル円見通し 米長期債利回り高止まりでもドル安再開感に圧される

〇ドル円、2/18夜105.58まで安値を切り下げる、深夜に105.87へ小反発したが再び105.60台へ失速
〇NYダウ4日ぶり反落、ナスダック3日続落となったが、連騰一服からの小反落や調整安という印象
〇米長期債利回り高止まりだが、先行きは1.50%を超えるのではないかとの見方も
〇目先は全般的なドル安に圧されるが、また上昇再開へ向かうか
〇米経済指標は強弱まちまちだが、物価上昇感が強まっている様子
〇106台回復からは上昇再開、106.21超えからは106.50超えを目指す流れとみる
〇105.50割れからは105.25から105.00を目指すとみる

【概況】

ドル円は2月17日午前に106.21円まで上昇して2月5日高値105.76円を上抜いたが、17日深夜の上昇では午前高値と同値にとどまり、その後はジリ安の展開で18日夜には105.58円まで安値を切り下げた。深夜に105.87円へ小反発したものの長続きせずに105.60円台へ再び失速している。
2月17日深夜にかけては米長期債利回りが一段と上昇する中でドル高へ向かい、ユーロやポンド、豪ドル及び新興国通貨も下げたが、18日は米長期債利回りの上昇がやや緩んだものの高止まりする中、NYダウも4日ぶりに反落、欧州株も総じて軟調推移だったが、夕刻からはドル安へ向かった。17日深夜へ下落していたポンドやユーロ、豪ドル等が下げ渋って底固さを見せたことで、昨年来のドル安基調はまだ健在とみて主要通貨が反騰に転じた印象だ。特にポンドは昨年3月来の最高値を更新して上昇が目立った。

【米長期債利回りは高止まりでダウも反落したが、大勢のドル安基調は変わらずとの市場心理】

2月18日のNYダウは前日比119.68ドル安と下げた。前日までは3連騰で終値ベースの史上最高値を更新して17日は取引時間中の最高値も更新したが、連騰一服で小反落したという印象だ。ナスダック総合指数も前日比100.14ポイント安と下げて16日からは3日間の続落だが、2月16日に史上最高値を更新した後の調整安という印象で安値からは100ポイント以上を戻している。このため株安再燃への警戒感が強まるような印象には欠けた。

米10年債利回りは2月17日に一時1.33%まで上昇した後に1.25%まで低下していたが18日終盤は再び上昇して1.31%となった。昨年2月以来の高水準にあり昨年8月底を起点とした上昇が長期的に継続した状況で高止まりしている。コロナ対策での大規模な経済政策・財政出動の拡大見込み、欧米及び世界全体の感染増加ペースの大幅鈍化とワクチン普及開始による先行きのパンデミック収束期待、実質ゼロ金利と量的緩和による過剰流動性供給での金余りと資産インフレ進行、原油高による実体経済面でのインフレ進行感が今後の大量国債発行による需給緩和感も踏まえて米長期債利回り上昇を助長してきており徐々に利回りの上昇も加速しつつある。先行きは1.50%を超えてゆくのではないかとの見方も強まってきている。

米長期債利回りが顕著に急上昇する場面ではさすがにドル高感が強まるが、昨年8月以降は長期債利回り上昇が続く中でユーロやポンド、豪ドルや新興国通貨が上昇してきたのであり、トレンドとしては昨年3月以降のドル安基調の継続として目先の下落を消化するとまた上昇再開へ向かうというのがポンドの高値更新に象徴される市場心理と思われる。
2月18日夜のドル安を見ると、ドル円も全般的なドル安の圧力を受けて下落再開に入りやすいかもしれないが、一方で米長期債利回りの高止まりはドル円を支える。目先は全般的なドル安に圧されるかもしれないが、2月5日高値を超えてきた相場のため、調整を消化しつつ米長期債利回りが一段と上昇する局面ではクロス円全般の上昇と共にドル円も高値更新を目指す流れへ向かってもよいのではないかと思われる。

【米物価上昇率が目立ち始める】

2月18日の米経済指標は強弱まちまちだったが、輸入物価などの上昇が顕著であり、感染拡大期の消費低下と感染拡大が落ち着いての経済活動再活発化の波の影響もあるのだろうが、前日の生産者コア物価上昇率が前年比で2.0%まで上昇したことなど物価上昇感が強まっている。
米フィラデルフィア連銀が発表した2月の製造業景況指数は23.1で1月の26.5から小幅低下、市場予想の20.0を上回って9か月連続のプラスだった。
米商務省が発表した1月の住宅着工許可は前月比10.4%増の188.1万戸で市場予想の167.8万戸を上回った。着工件数は前月比6%減の158万戸で市場予想の165.8万戸を下回った。

米労働省が発表した新規失業保険申請件数は86.1万件で前週の79.3万件から増加、市場予想の76.5万件を上回り2週連続で悪化。失業保険受給者数は2月6日までの1週間で449.4万人で前週の454.5万人から減少したものの市場予想の441.3万人を上回った。
米商務省が発表した1月の輸入物価指数は前月比1.4%上昇で12月の0.9%上昇から伸びが加速、市場予想の1.0%を大幅に上回り3か月連続の上昇だった。1月の輸出物価指数は前月比2.5%上昇となり12月の1.1%から大幅に加速して市場予想の0.8%を上回った。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月12日夕刻高値からいったん105円割れまで下げてから一段高したものの、2月17日午前と17日深夜の両高値をダブルトップとして下落に転じている。安値形成期は19日の日中から23日夜にかけての間と想定されるので、18日深夜の戻り高値105.87円を超えないうちは一段安警戒とするが、105.87円超えを強気転換注意とし、106円超えからは新たな強気サイクル入りとして22日夜から24日深夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では2月18日の下落で遅行スパンが悪化し、19日午前時点では先行スパンからも若干転落している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月17日午前と17日深夜の高値がほぼフラットだったものの指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられてから下落に転じている。50ポイントを下回るか一時的に超えても失速するうちは30ポイント前後への下落余地ありとするが、60ポイントを超えてその後も50ポイント以上での推移に入れば上昇再開感が強まるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、105.50円を下値支持線、106.00円を上値抵抗線とする。
(2)106円台回復からは上昇再開とし、106.21円超えからは106.50円超えを目指す流れとみる。106.50円以上はいったん売られやすいとみるが106円を超えた後も105.85円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)105.50円割れからは105円台序盤(105.25円から105.00円)を目指すとみる。105円台序盤は押し目買いされやすい水準とみるが、105.50円以下での推移なら週明けも安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

2/19(金)
09:30 (豪) 1月 小売売上高 前月比 (12月 -4.2%、予想 2.0%)
16:00 (独) 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 0.8%、予想 0.8%)
16:00 (英) 1月 小売売上高・除自動車 前月比 (12月 0.4%、予想 -2.6%)
16:00 (英) 1月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (12月 6.4%、予想 2.2%)
16:00 (英) 1月 小売売上高 前月比 (12月 0.3%、予想 -2.5%)
16:00 (英) 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 2.9%、予想 -1.3%)
17:30 (独) 2月 製造業PMI速報値 (1月 57.1、予想 56.5)
17:30 (独) 2月 サービス業PMI速報値 (1月 46.7、予想 46.5)

18:00 (欧) 12月 経常収支・季調済 (11月 246億ユーロ)
18:00 (欧) 12月 経常収支・季調前 (11月 268億ユーロ)
18:00 (欧) 2月 製造業PMI速報値 (1月 54.8、予想 54.3)
18:00 (欧) 2月 サービス業PMI速報値 (1月 45.4、予想 45.9)
18:30 (英) 2月 製造業PMI速報値 (1月 54.1、予想 53.2)
18:30 (英) 2月 サービス業PMI速報値 (1月 39.5、予想 41.0)
23:45 (米) 2月 製造業PMI速報値 (1月 59.2、予想 58.5)
23:45 (米) 2月 サービス業PMI速報値 (1月 58.3、予想 57.6)
24:00 (米) 1月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (12月 676万件、予想 660万件)
24:00 (米) 1月 中古住宅販売件数 前月比 (12月 0.7%、予想 -2.4%)


注:ポイント要約は編集部

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