来週の為替相場見通し:『200日線トライに失敗。テーパリング否定でドル売り再開』(2/13朝)

ドル円は2/5に記録した約4ヵ月ぶり高値105.78をトップに反落に転じると、今週半ばにかけて一時104.41まで下落しました。

来週の為替相場見通し:『200日線トライに失敗。テーパリング否定でドル売り再開』(2/13朝)

200日線トライに失敗。テーパリング否定でドル売り再開

〇ドル円バイデン政権による追加経済対策期待と米長期金利上昇に週明け105.68まで上昇
〇その後はFRB当局者の相次ぐハト派発言に週半ばにかけ104.41まで下落104円台後半で越週
〇ユーロドル独指標の不冴え米長期金利上昇に週初1.2019まで下落
〇その後は伊政局不透明感後退で1.2150まで急伸1.21台前半で越週
〇ドル円200日線トライに失敗転換線も下抜け地合い弱い
〇ファンダメンタルズもドル売り材料増えつつある
〇来週の予想レンジ(USDJPY):103.50ー106.00、(EURUSD):1.2050−1.2250

今週のレビュー(2/8−2/12)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初105.39で寄り付いた後、@バイデン新政権による追加経済対策への期待感や、A上記@を背景とした米長期金利の上昇が支援材料となり、週明け早々に週間高値105.68まで上昇しました。しかし、先週末金曜日(2/5)に記録した直近高値105.78をバックに伸び悩むと、Bクリーブランド連銀メスター総裁によるハト派的な発言(FRBは長期間に亘って金融緩和政策を維持)や、C200日移動平均線をバックにした戻り売り圧力、D心理的節目105.00を割り込んだことに伴う短期筋のロスカット、

Eダラス連銀カプラン総裁による「インフレが一時的に上昇しても驚きはない」との発言が重石となり、週半ばにかけて、週間安値104.41まで下落しました。その後も、F米1月消費者物価指数(結果1.4%、予想1.5%、前年同月比)の伸び率鈍化や、GパウエルFRB議長によるエコノミック・クラブでのハト派的な発言(緩和的な金融政策が必要。今後数ヶ月のインフレ上昇はあまり意味がない)、H新規失業保険申請件数(結果79.3万件、予想75.7万件)の冴えない結果が重石となり、本稿執筆時点(日本時間6時30分現在)では、104.90近辺で推移しております。尚、今週は一部メディアより「日銀は来月の金融政策決定会合で金利の深堀余地があることを明確化する可能性」と報じられましたが、市場の反応は限られました。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.2042で寄り付いた後、@ドイツ12月鉱工業生産(結果▲1.0%、予想▲0.8%、前年同月比)の冴えない結果や、A米長期金利の上昇を背景に、週明け早々に週間安値1.2019まで下落しました。しかし、心理的節目1.2000をバックに下げ渋ると、B米当局者による相次ぐハト派的な発言や、Cイタリアを巡る政局不透明感の後退(イタリアの最大政党「五つ星運動」がオンライン投票を通じてドラギ前ECB総裁を首相とする新内閣樹立を支持することを決定)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値1.2150まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6時30分現在)では、1.2120近辺で推移しております。尚、ラガルドECB総裁は今週、「緩和的な金融政策の継続が必要」「必要ならパンデミック緊急購入プログラムの増額も可能」と発言しましたが、市場の反応は限られました。

来週の見通し(2/15−2/19)

<ドル円相場>
ドル円は2/5に記録した約4ヵ月ぶり高値105.78をトップに反落に転じると、今週半ばにかけて一時104.41まで下落しました。@200日移動平均線トライに失敗したこと、A一目均衡表転換線を下抜けしたこと、B心理的節目105.00を維持できなかったこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRB当局者による相次ぐハト派的な発言(クリーブランド連銀メスター総裁や、ダラス連銀カプラン総裁、パウエルFRB議長)や、A上記@を背景としたドル高是正(テーパリング観測の後退→年初来加速したドル高の後退)、Bバイデン新政権による追加経済対策の難航リスク(例え満額回答でも材料出尽くしでsell the factのドル売り。1.9兆ドルに達しなかった場合はネガティブサプライズでドル売り。いずれの場合もドル売りで反応し易い)など、ドル売りを意識させる材料が増えつつあります(週末にかけて米10年債利回りが約11ヵ月ぶり水準へ上昇したにも係わらずドル高での反応は限定的)。

以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、下落リスクが警戒されます。2/15に予定されている本邦の第4四半期GDPや、2/17の米1月小売売上高及びFOMC議事要旨(1/26ー1/27の会合時に早期テーパリングの必要性を指摘する声が上がっていたのか否かに注目)、米当局者による要人発言(ボストン連銀ローゼングレン総裁、ブレイナードFRB理事、アトランタ連銀ボスティック総裁など。テーパリング観測を否定する発言を行うか否かに注目)、バイデン政権による追加経済対策を巡るヘッドラインを睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(USDJPY):103.50ー106.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は2/5に記録した安値1.1952をボトムに反発すると、今週後半にかけて、一時1.2150まで急伸しました(1週間で約200ポイントの上昇幅)。この間、一目均衡表転換線やボリンジャーミッドバンドを上抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となっております(懸念されていた一目均衡表三役逆転入りを免れたことも買い安心感を生む形に)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米当局者のハト派的な発言を受けてドル高地合いが和らぎつつあることや、Aイタリアを巡る政局不透明感の後退(ドラギ前ECB総裁は2/12にマッタレラ大統領に閣僚名簿を提出→2/13の就任宣誓式を経て2/13に新政権樹立)など、ユーロドルの上昇を意識させる材料が増えつつあります(但し、週末にかけて米長期金利が再び上昇に転じている点には要注意。米10年債利回りは1.20台を上抜け、約11ヵ月ぶり高水準へ)。

以上の通り、ユーロドル相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、続伸リスクが警戒されます。2/16に予定されているドイツ2月ZEW景況感調査(ドイツはロックダウンを3/14まで再延長することが検討されている為、景況感にどの程度影響を与えるか注目)や、2/18のECB理事会議事録(マイナス金利の深堀の議論があったか否か)、2/19のユーロ圏PMI(特にサービス業PMIに注目。目線が下がっている為、ポジティブサプライズに要注意)、イタリアの新内閣樹立に絡む続報を睨みながらも、来週はユーロドル相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(但し、ユーロ高進行時には欧州当局者によるユーロ高牽制発言が強まることから上昇速度は徐々に和らぐ見通し)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.2050−1.2250


注:ポイント要約は編集部

200日線トライに失敗。テーパリング否定でドル売り再開

ドル円日足

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