ドル円見通し 104円に迫るも届かず、1月11日以降の下降チャンネル内(21/1/26)

ドル円は1月25日深夜に103.93円まで上昇して104円に迫ったが届かずに深夜以降は失速気味。26日朝は103.80円を若干割り込んだ水準での推移。

ドル円見通し 104円に迫るも届かず、1月11日以降の下降チャンネル内(21/1/26)

ドル円見通し 104円に迫るも届かず、1月11日以降の下降チャンネル内

〇ドル円、1/25深夜103.93まで上昇、104円に迫るが届かず深夜以降は失速気味
〇ドル高がややぶり返しドル円も反発に入ったが、下降チャンネルを抜け出すには至らず
〇独IFO景況指数悪化を受け1/25深夜にかけてユーロドル下落、ポンド・豪ドル・新興国通貨も対ドル下落
〇1/25深夜にかけて米長期債利回りが低下したにもかかわらず、為替市場ではドル高進行
〇103.50以上での推移中は上昇余地あり、103.93超えからは104.00から104.25を試すとみる
〇103.50割れからは103.32試しとし、底割れからは103円前後試し、102.75前後試しへ向かうとみる

【概況】

ドル円は1月25日深夜に103.93円まで上昇して104円に迫ったが届かずに深夜以降は失速気味。26日朝は103.80円を若干割り込んだ水準での推移。
米長期債利回り急上昇をきっかけとしたドル高により1月6日午前安値102.59円から1月11日夜高値104.39円まで上昇したが、その後は長期債利回りの急上昇も落ち着き、株高の再燃により為替市場全般がリスク選好的にドル安感となったことで戻り高値を切り下げつつ安値を更新する右肩下がりの下降チャンネルを形成している。その後の1月21日夜に103.32円まで下げたところからは、ドル高がややぶり返したことでドル円も反発に入ったものの下降チャンネルを抜け出すには至らずという状況だ。

【欧米株安、米長期債利回り低下でもドル高】

1月25日は夕刻に発表されたドイツIFO景況指数が予想以上に悪化したことでユーロドルが深夜にかけて下落、ポンドドルも22日夜安値から反騰して21日夕高値に迫っていたがユーロ安を見て下落、豪ドル米ドルは25日午後にいったん戻していたところから下落に転じて深夜には25日朝安値を割り込んで21日夜高値以降の安値更新となった。またメキシコペソは21日夕刻高値19.54ペソからの下落が続いて25日深夜には20.22ペソまで大幅続落、南アランドも1月21日夜高値14.75ランドから25日深夜には15.26ランドまで下落した。総じて為替市場では25日深夜にかけてドル高となった。

しかし米長期債利回りは低下した。IFO景況指数悪化からユーロ安と共に欧州株が総じて下落、ダウ先物等も同調して下落となり、株売り債券買いの様相となったことが背景だった。
米主要経済指標の発表はなかったものの、NYダウは1月21日から22日へ続落していたが25日も前日比36.98ドル安で3日続落となった。バイデン政権による1.9兆ドル規模の追加景気対策実現にはまだ時間がかかるとの見方、バイデン政権発足や上下院を与党民主党が制したことでの新政権期待のご祝儀買いもそろそろ一巡したことで利益確定売りが優勢となってきた印象だ。その一方でナスダック総合指数は25日も史上最高値を更新して前日比92.93ポイント高と上昇しており、中勢としての株高基調はまだ継続している印象だ。

米10年債利回りはナスダックよりもNYダウを見ながらの展開であり、25日は前日比0.06%低下の1.03%となった。年初に0.90%台だったところから1月12日に1.19%まで急上昇し、その後も1.07%以上を維持して高止まりしていたが、25日は株売り債券買いから利回り低下が進んで序盤の1.10%台から大幅低下となった。1月12日までは大量国債発行による需給緩和懸念もあっての利回り急上昇だったがやや過剰だったとして修正に入っている印象もある。
このように25日は米長期債利回りが低下したにもかかわらずドル高が進行した。NYダウを基準の先導役として株高基調が継続しているうちは為替市場はリスク選好的に投機通貨買いとなりユーロやポンド、豪ドル等の資源通貨や新興国通貨も買われる。量的緩和と実質ゼロ金利による金余りが投機通貨買いを助長する。しかしNYダウが下げるとリスク選好的な投機通貨買いが後退する。このため株安債券高で米長期債利回りが低下してもリスク回避的なドル買い戻しが優勢となるというのが今の力関係といえる。

ドル円は米長期債利回り低下により日米利回り格差縮小でドル売り円買い圧力がかかる一方、リスク回避的なドルの買い戻しによるドル高圧力を受け、クロス円では円高になるもののドル円ではドル高円安になるような反応を見せたと思われる。ただ、クロス円での円高傾向がドル円の上昇を鈍らせるため、1月11日以降の下降チャンネルの範囲内でのリバウンドにとどまっていると思われる。リスク回避感がさらに強まれば、クロス円での円高感がドルストレートでのドル高感に勝ってドル円も下げ足を速める可能性もあると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月20日深夜の下落で19日未明安値を割り込んだために21日朝時点では弱気サイクル入りとして21日深夜から26日未明にかけての間への下落を想定した。21日夜へ安値を切り下げたところからの戻りが続いて強気転換目安とした103.75円を超えたため、21日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。高値形成期は22日から26日夜ににかけての間への上昇を想定されるがすでに反落注意期にあるため、103.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、103.50円割れからは弱気サイクル入りとみて26日夕から28日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では25日深夜への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いたがその後は伸び悩みとなっているため両スパン揃って悪化しやすい位置にある。遅行スパン好転中は高値試しへ進む余地ありとするが、先行スパン転落からは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は22日深夜高値から25日深夜高値への切り上がりに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行となったために既に下落期に入っている可能性がある。50ポイントを割り込んでも切り返すうちは60ポイント超えからの上昇再開余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、103.50円を下値支持線、1月25日深夜高値103.93円を上値抵抗線とする。
(2)103.50円以上での推移中は上昇余地ありとし、25日深夜高値超えからは104円台序盤(104.00円から104.25円)を試すとみる。104円以上は反落注意とみる。1月11日以降の下降チャンネルを超える上昇へ進むには104円を超えてさらに続伸してゆく展開が必要だが、一時的に104円を超えても失速するなら下降チャンネルの突破失敗によりかえって下げやすくなるとみる。
(3)103.50円割れからは21日夜安値103.32円試しとし、底割れからは103円前後試し、さらに下げ足が早まる場合は102.75円前後試しへ向かうとみる。103円前後は買われやすい水準だが、103.50円以下での推移なら27日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

1/26(火)
休場、豪
IMF、世界経済見通し改訂版
フューチャー・インベストメント・イニシアチブ(砂漠のダボス会議)1月28日まで、リヤド
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
16:00 (英) 12月 失業保険申請件数 (11月 6.43万件)
16:00 (英) 12月 失業率・英国方式 (11月 7.4%)
16:00 (英) 11月 失業率・ILO方式 (10月 4.9%、予想 5.1%)
23:00 (米) 11月 住宅価格指数 前月比 (10月 1.5%、予想 0.8%)
23:00 (米) 11月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (10月 7.9%、予想 8.6%)
24:00 (米) 1月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (12月 88.6、予想 89.0)
24:00 (米) 1月 リッチモンド連銀製造業指数 (12月 19、予想 19)

1/27(水)
09:30 (豪) 10-12月期 消費者物価 前期比 (7−9月 1.6%、予想 0.7%)
09:30 (豪) 10-12月期 消費者物価 前年同期比 (7−9月 0.7%、予想 0.7%)
09:30 (豪) 12月 NAB企業景況感指数 (11月 9 )
14:00 (日) 11月 景気先行指数CI・改定値 (速報 96.6)
14:00 (日) 11月 景気一致指数CI・改定値 (速報 89.1)
16:00 (独) 2月 GFK消費者信頼感 (1月 -7.3、予想 -7.9)
22:30 (米) 12月 耐久財受注 前月比 (11月 0.9%、予想 1.0%)
22:30 (米) 12月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (11月 0.4%、予想 0.5%)
24:00 (欧) レーンECB理事、講演
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC) 政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
28:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見



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