ドル円見通し 103円台後半の持ち合いから転落後もジリ安続く(21/1/22)

ドル円も全般的なドル安に圧される展開で徐々に水準を切り下げ始めている印象だ。

ドル円見通し 103円台後半の持ち合いから転落後もジリ安続く(21/1/22)

ドル円見通し 103円台後半の持ち合いから転落後もジリ安続く

〇ドル円、1/21夜103.32まで安値を切り下げ、深夜103.65へ戻したが1/22早朝にかけて軟調な推移
〇1/21は総じてドル安基調、ドル円も全般的なドル安に圧され徐々に水準を切り下げ始めている印象
〇昨日発表の米経済指標、市場予想を上回る好数字
〇NYダウは取引序盤に史上最高値更新、ナスダックは3連騰・取引時間中及び終値の史上最高値更新
〇米10年債利回り前日比0.03%上昇の1.11%、再び上昇気配見せる
〇日銀の金融政策決定会合、金融政策は現状維持、3月会合で現在の金融緩和策について点検の方針
〇103.75以下での推移中は一段安余地あり、103.32割れからは103円前後試しへ向かうとみる
〇103.75超えからはいったん戻しに入るとみて、104円手前を目指す上昇を想定

【概況】

ドル円は1月20日深夜に103.44円まで下落して13日昼安値103.52円を割り込み、13日以降続いていた103円台後半での持ち合いから転落したが、21日も夜に103.32円まで安値を切り下げた。深夜に103.65円へ戻す場面もあったが22日早朝にかけては軟調な推移が続いた。
1月21日はポンドドルが昨年3月以降の最高値を更新、豪ドルが3連騰、ユーロドルもECBの金融政策現状維持発表から前日の高値を上抜くなど総じてドル安基調となり、ドル円も全般的なドル安に圧される展開で徐々に水準を切り下げ始めている印象だ。
日銀の金融政策決定会合は現状維持、3月会合では全般方針の点検もされるようだが今のところドル円を浮上させるようなきっかけにはならない印象だ。

米労働省が発表した1月16日までの週間新規失業保険申請は90万件、前週比2万6000件減少して3週間ぶりに改善、市場予想の91万件を下回った。また失業保険受給者総数は1月9日までの週間で505万4000人、前週比12万7000人減少で市場予想の540万人を下回った。水準としては高失業状態のままであり感染拡大が収まらない状況を反映しているが、市場予想程の悪化がなかったことで株高に寄与した。
米フィラデルフィア連銀の1月製造業景況指数は26.5、12月の9.1から大幅上昇して市場予想の12.0も上回った。米商務省が発表した12月の住宅着工件数は年換算で166万9000戸、前月比5.8%増で4か月連続のプラス、市場予想の156万戸を大幅に上回った。また先行指標の住宅着工許可件数も170万9000戸で前月比4.5%増となり市場予想の160.4万戸を大幅に上回った。

【株高ドル安基調続く、米長期債利回りの上昇感も残る】

1月21日のNYダウは前日比12.37ドル安と小幅下落したものの序盤に3万1272.22ドルを付けて史上最高値を更新した。ナスダック総合指数は73.67ポイント高と上昇して3連騰、取引時間中及び終値としての史上最高値を更新した。バイデン政権発足までの期待先行での上昇が続いたことでの高値警戒感もあり、22時半の米経済指標が軒並み良好だったことで買われた後はやや下げているが株高基調は変わらないようだ。

米10年債利回りは前日比0.03%上昇の1.11%となったが、米経済指標発表後には序盤の1.08%台から1.12%台へ上昇したために一時的にドル安へのブレーキとなった。バイデン政権による財政出動拡大と債券需給のゆるみを警戒して1月4日の0.90%台から1月12日には1.19%へ急上昇し、その後は20日の1.07%台まで低下して落ち着いていたが、再び上昇気配を見せている。21日夜の米10年債利回り上昇局面ではドル円も若干戻して気にする動きを見せたがドル円反騰というほどの勢いを見せるきっかけにはならなかった。1月12日の水準を超える利回り急上昇が発生すればドル円も反騰入りの可能性があるが、21日夜レベルなら大きな影響を受けず全般的なドル安基調に同調した動きを続けるのではないかと思われる。

【日銀は現状維持】

日銀は21日の金融政策決定会合で金融政策を現状維持とし、大規模な金融緩和を維持して貸し出し増加支援の資金供給などを1年延長するとした。黒田総裁は緊急事態宣言による影響については「長く続けば経済に対する影響も大きくなる」と懸念を示したものの、先行きについてはやや楽観的ともいえるスタンスだった。
日銀の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では感染拡大により2020年度の成長率見通しを従来のマイナス5.5%から5.6%へ若干下方修正した。2021年度については従来の3.6%から3.9%へ上方修正した。
会見では、3月会合では現在の金融緩和策について点検する方針とし、「(現状の金融政策の)副作用を抑制しつつ効果的な緩和を実施する」と説明した。総裁は「デフレリスクが非常に高まっているとはみていない」としたが、緊急事態宣言は長く続けば経済への影響は大きくなるとした。YCC(イールドカーブコントロール)による長期金利の変動幅について現時点で変えると決めていないが点検の中で議論するとした。21日の会合では近親者がPCR検査を受けたとして雨宮正佳副総裁は欠席した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月19日昼の上昇で104円をいったん超えたために20日朝時点では19日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとしていたが、1月20日深夜の下落で19日未明安値を割り込んだために21日朝時点では弱気サイクル入りとして21日深夜から26日未明にかけての間への下落を想定した。21日夜へ安値を切り下げた後は新たな安値更新には至っていないが戻りも鈍いためまだ一段安余地ありとみるが、103.75円を超える反騰からは強気サイクル入りとして22日から26日にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では20日深夜への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落した。21日夜からの下げ渋りで遅行スパンは実線と交錯に入るが先行スパンを上抜き返せないうちは一段安余地ありとし、21日夜安値を割り込むところからは遅行スパン悪化中の安値試しとする。先行スパンを上抜き返すところからはいったん戻しに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は20ポイント台まで低下してから50ポイント台へ戻したが再び50ポイント以下での推移となっているのでまだ下落余地ありとみる。55ポイント超えからはいったん戻しに入るとみて60ポイント台中盤への上昇を想定するが、40ポイント割れからは再び20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月21日夜安値103.32円を下値支持線、103.75円を上値抵抗線とする。
(2)103.75円以下での推移中は一段安余地ありとし、103.32円割れからは103円前後試しへ向かうとみる。103.10円以下は反騰注意とするが、ドル安感が強まる場合は102円台後半へ下値目途を引き下げる。また103.50円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)103.70円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、103.75円超えからはいったん戻しに入るとみて104円手前を目指す上昇を想定する。103.75円以上での推移なら週明けは高値試しを続けやすいとみるが、104円手前は反落警戒とし、その後に103.60円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

1/22(金)
09:30 (豪) 12月 小売売上高 前月比 (11月 7.1%、予想 -1.5%)
16:00 (英) 12月 小売売上高 前月比 (11月 -3.8%、予想 1.0%)
16:00 (英) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 2.4%、予想 3.9%)
16:00 (英) 12月 小売売上高・除自動車 前月比 (11月 -2.6%、予想 1.0%)
16:00 (英) 12月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (11月 5.6%、予想 7.4%)
17:30 (独) 1月 製造業PMI速報値 (12月 58.3、予想 57.5)
17:30 (独) 1月 サービス業PMI速報値 (12月 47.0、予想 45.3)

18:00 (欧) 1月 製造業PMI速報値 (12月 55.2、予想 54.5)
18:00 (欧) 1月 サービス業PMI速報値 (12月 46.4、予想 44.5)
18:30 (英) 1月 製造業PMI速報値 (12月 57.5、予想 54.0)
18:30 (英) 1月 サービス業PMI速報値 (12月 49.4、予想 45.0)
23:45 (米) 1月 製造業PMI速報値 (12月 57.1、予想 56.5)
23:45 (米) 1月 サービス業PMI速報値 (12月 54.8、予想 53.6)
24:00 (米) 12月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (11月 669万件、予想 655万件)
24:00 (米) 12月 中古住宅販売件数 前月比 (11月 -2.5%、予想 -2.0%)


注:ポイント要約は編集部

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